第21話

命よりも大切な人~💑シリーズ~
2,339
2019/01/08 03:12
あなたへ。
あなたがこの手紙を読むとき、
俺はこの世におらんと思う。
あなたとの思い出は
俺にとって、何にも変えることのできない
大切なものです。
1つだけ、お願いがあんねんけどええかな?
















俺のために泣かないで。
俺の事なんて気にしなくてええから、
あなたにとって良い人を見つけてください。
俺のことなんて
「こんな男おったなぁ」ぐらいの存在でええから。










ずっと笑顔でおってください。
照史より。




















あなた

あなたにとって良い人なんて…、あっくん以外にいるわけないでしょ…?
………ばか。

あっくんから貰った手紙を読み返す。
あれはちょうど1年前のことだった。

































あなた

あっくん!
時間だよっ!!
早く起きてっ!!

桐山照史
…んん、…まだ、ねむ…い…。
あなた

ちょっと、あっくん…っ!!
今日から地方ロケなんでしょ?!
遅刻しちゃうよぉ…。

桐山照史
…んん。
あなた

もう……。
じゃああと10分だけだからね…!
10分経ったら自分で起きてきてね!!

桐山照史
はーい、…。
あなた

準備は昨日の夜したんだよね…、って…。
もう寝てるし…(笑)

彼氏の桐山照史はジャニーズ。
今日から北海道で1週間のロケがあるらしい。
あっくんが眠いのは無理ない。
だって今は夜中の3時30分。
あっくんが寝たのはたぶん夜中の1時くらい。
ご飯作っといてあげるか。
そう思い、キッチンへ向かって卵焼きを作り、ウインナーを焼く。
そろそろ10分かな、なんて思っていると…。
桐山照史
…ん。
あなた

ぅわ…っ。
あっくん、おはよぉ。

急に後ろから抱きついてきたあっくん。
あなた

朝ごはん作ったよ?
…って、まだ朝ってほどの時間じゃないけど(笑)

桐山照史
…おおきに。
あなた

まだ眠いの?

桐山照史
んん…。
あなた

ご飯、一緒に食べよっか。

軽く作ったご飯を一緒につまむ。
桐山照史
ごめんなぁ。
起きる時間、俺に合わさして…。
あなた

へーきへーき。
たまたま目ぇ覚めただけだから!

桐山照史
おおきになぁ。
あぁ、行きたないなぁ…。
あなた

なんでぇ?
北海道でしょ?
羨ましいけどなぁ。

桐山照史
あなたと離れたないもん。
あなた

あはは(笑)
そーゆーことね。

そんな他愛のない話。
こんな日々がずっと続く、そう思ってた。
















桐山照史
じゃあ、行ってくるな…!
あなた

うん、行ってらっしゃい!
気をつけてね。

桐山照史
浮気すんなよ。
あなた

お前もな。

そんな冗談を言い合い軽い口づけを交わす。
事が起きたのはその日の夜だった。










――プルルルル、プルルルル。――
あなた

はい、もしもし。

中間淳太
┌もしもしっ。
└あなたちゃんっ??!
あなた

はい、そうですけど…。

中間淳太
┌俺、淳太やねんけどっ!
│北海道来れたりせぇへん?!
└なるべく早く…っ!
あなた

何か…あったんですか…?

中間淳太
┌照史が…、倒れて…っ!
│家にある薬がないとあかんみたいで!
└持って来てくれんかな?!
あなた

…すぐ行きます。

…家にある薬?
なにそれ…。
なんの…?
そしてふと思い出した。





『ここの引き出し、絶対開けたらダメやから!』





あなた

あそこだ…!

案の定そこに入ってたのは、聞いたことない名前のおびただしい程の種類の薬の数々。
それと、「悪性がん進行抑制」と表記された紙。





悪性がん…?


















北海道のあっくんがいる病院に着いたのは、日付も変わって少し経ったぐらいの時間だった。
濵田崇裕
…あっ!
あなたちゃんっ!!
あなた

濵田くんっ!
あっくんは??!!

濵田崇裕
ここの部屋に…、
濵田くんが言い終わる前に部屋に飛び込む。
あなた

あっくんっ!!!!

桐山照史
あ、あなた…、
――バチンッ!!!!――
私があっくんの頬を叩いた音が部屋に響く。
重岡大毅
ぅわ…いたそ…っ。
中間淳太
しげっ!
お前、あほかっ!!
…と、とりあえず、2人にするから…話あっててな…!
そう言いながら部屋から出ていくジャニーズWESTのメンバーさん達。
持って来た薬をあっくんに投げつける。
桐山照史
…っ!
…薬、…ありがとぉな。
あなた

……。

桐山照史
わざわざごめんなぁ。
北海道にまで来てもらっちゃって…。
あなた

……。

桐山照史
淳太にええって言ったんやけど、すぐあなたに電話してくれちゃってなぁ…(笑)
あなた

……。

桐山照史
…怒ってるん?
あなた

当たり前でしょ。

桐山照史
…何に対して…?
わざわざ北海道まで寄越したこと?
あなた

…ばっかじゃないの。
そんな事くらいで怒るわけないでしょ?!

さっき、薬と一緒に見つけた紙をあっくんの前に叩きつける。
あなた

どーゆーこと…?

桐山照史
……。
あっくんは何にも言わず、長い沈黙が続いた。
あなた

いつ…?
…薬貰ったの。

桐山照史
…2ヶ月くらい前。
あなた

どうして黙ってたの…?

桐山照史
あなたにいらん心配かけたくなくて…。
あなた

…は?
いらん心配ってレベルじゃないでしょ??!

桐山照史
……。
あなた

もし、ずっとあなたが気づかなかったら、何も言わないまま勝手にいなくなるつもりだったの?!

桐山照史
……。
自分でも分かるくらい、目に溜まっていく涙。
桐山照史
あなた。
不意に呼ばれ、あっくんの方を見ると手を広げている。
あなた

…なに?

桐山照史
こっち…来て…。
…だめ?
ダメなわけないでしょ…。
私はあっくんの腕のなかでたくさん泣いた。
桐山照史
いつか、言わないといけないのは分かってた。
でも、自分でも信じられんくて…。
あなた

治らないの…?

桐山照史
どーも位置が悪いみたいで…。
手術しても意味はないだろう…って…。
あなた

なんで…。

なんであっくんなの…?
朝までの日常が全て崩れていった。
桐山照史
…カミングアウトしてもええ?
あなた

…なに?

桐山照史
もって後1ヶ月やって…。







え…?
桐山照史
このまま腫瘍が体にある状態だと、もって1ヶ月らしい…。
あなた

…急にカミングアウトしてくんなよ。

桐山照史
ごめんなぁ。
表面上強がってみたものの、精神的には今にも壊れそうだった。
あなた

…トイレ。

桐山照史
うん、行ってらっしゃい。
そう、部屋から出ていく。
部屋を出た瞬間、膝から崩れ落ちた。
もって1ヶ月って何…?
1ヶ月後にはもう、あっくんはいないの…?
自分でも驚くぐらいの量の涙が溢れてきた。
濵田崇裕
あなたちゃん…、ちょっとええかな…?
濵田くんに呼ばれ、ジャニーズWESTメンバーのいる所へ行った。
藤井流星
これ…。
そう言って渡されたのはあっくんからの手紙だった。
あなた

なに…これ…。
これじゃあ、まるで…っ。

まるで、遺書みたい…。
藤井流星
俺が死んだら渡して…って言われててん。
神山智洋
でも、それじゃあかん気がして…。
あなた

ありがと…ございます…っ。

小瀧望
これからずっと、あいつと一緒におってくれん…?
そんなの、そうするに決まってんじゃん…っ。
あっくんのいる部屋に戻るとあっくんが眠っていた。
あっくんの頬に手を当てる。
あなた

さっき…ひっぱたいちゃってごめんね…。

桐山照史
…ん、…あなた…。
返事の代わりに寝言で答えるあっくん。
この愛しいあっくんがいなくなっちゃうの…?








嫌だ…。
そんなの…、嫌…っ。
また、溢れ出す涙。
今度はどう頑張っても止めることが出来なかった。



















3週間後のこと。
先生
外出はこれが最後だと思ってください。
あなた

……。

桐山照史
…はい。
わかりました…。
中間淳太
じゃあ、気をつけてな!
重岡大毅
お土産買ってきたな!
桐山照史
あほか(笑)
『じや、行こっか』と言って私の手をひくあっくん。
これが最後のデート…。
あっくんのおかげで、デートの間はあの事を忘れることができた。
でも、楽しい時間はあっという間で…。
あなた

…そろそろ帰らないと…だよね。

桐山照史
せやな…。
楽しかったか?
あなた

うん、楽しか…、

堪えきれなかった。
今日は…今日だけは泣かないって決めてたのに…っ。
桐山照史
ごめん。
あなた

んーん…。
あっくんの、せいじゃ、ない…っ。

気を紛らすために歩き出したその時だった。
桐山照史
あなたっ!
危ないっっ!!!!
あっくんに腕を引っ張られ後ろに倒れこむ私。
それと同時にものすごい音がした。









目の前には血まみれで倒れてるあっくんの姿。
あなた

あっ…く、ん…っ?
あっくん…っ、あっくん…っ!!!!

桐山照史
…ぅ"…、あなた…?
…怪我、…して、ない?
あなた

やだ…っ。
あっくん…っ。

桐山照史
がんなん、かで死ぬより、…あなたのために、なれた…方が、嬉しいに、決まって…る、やろ…(笑)
あなた

やだ…っ。
死んじゃ嫌…っ!














もう、あれから1年経つんだ。
あの頃のことを思い出すと、今でも涙が溢れる。
小瀧望
あなたちゃん。
あなた

んぇ…?
小瀧くん…。

小瀧望
…手紙、読んでたん?
あなた

うん…。

小瀧望
あなたちゃん…。
あなた

やっぱ、思い出すと泣いちゃうわ…(笑)

小瀧望
もしよかったら俺と…、
桐山照史
ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!!!
小瀧望
ぅわ…。
桐山照史
おい、うわってなんやねん!
小瀧望
せっかくあなたちゃんの事口説いてたのに…。
桐山照史
人の彼女を勝手に口説くなっ!
あなた

あっくん…(笑)

あれ、なんであっくんがいるの?って思ってるでしょ(笑)
実はね…、
藤井流星
にしても、照史も運がいいよなぁ…(笑)
神山智洋
事故ったおかげで緊急手術になってそのまま腫瘍が取れたんやもんなぁ(笑)
桐山照史
ほんまな(笑)
てか、あなた!
その手紙捨てろって言ってるやろ!
あなた

分かってるよ(笑)
今捨てようとしてたの!

優しい手で私の涙を拭うあっくん。
桐山照史
大丈夫。
絶対、先に逝ったりせぇへんからさ。
あなた

それはあなたが先に逝けってこと?(笑)

桐山照史
ちゃうわ(笑)
ずっとそばにおるってこと。
―――――――the end

















ANNA👄🦈さんリクエストの作品でーす!


どうでしたか???


書き終えてから気づいたのですが、もしかして、リクエストされたのって恋愛的な意味の『切ない』感じですかね…?


勝手な解釈ですみません💦



リクエストくだされば新しく作れるので気兼ねなく、言って下さいね✨





お気に入り🌟、いいね❤️、リクエストまってまーす!





バイバイ!

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