あなたへ。
あなたがこの手紙を読むとき、
俺はこの世におらんと思う。
あなたとの思い出は
俺にとって、何にも変えることのできない
大切なものです。
1つだけ、お願いがあんねんけどええかな?
俺のために泣かないで。
俺の事なんて気にしなくてええから、
あなたにとって良い人を見つけてください。
俺のことなんて
「こんな男おったなぁ」ぐらいの存在でええから。
ずっと笑顔でおってください。
照史より。
あっくんから貰った手紙を読み返す。
あれはちょうど1年前のことだった。
彼氏の桐山照史はジャニーズ。
今日から北海道で1週間のロケがあるらしい。
あっくんが眠いのは無理ない。
だって今は夜中の3時30分。
あっくんが寝たのはたぶん夜中の1時くらい。
ご飯作っといてあげるか。
そう思い、キッチンへ向かって卵焼きを作り、ウインナーを焼く。
そろそろ10分かな、なんて思っていると…。
急に後ろから抱きついてきたあっくん。
軽く作ったご飯を一緒につまむ。
そんな他愛のない話。
こんな日々がずっと続く、そう思ってた。
そんな冗談を言い合い軽い口づけを交わす。
事が起きたのはその日の夜だった。
――プルルルル、プルルルル。――
…家にある薬?
なにそれ…。
なんの…?
そしてふと思い出した。
『ここの引き出し、絶対開けたらダメやから!』
案の定そこに入ってたのは、聞いたことない名前のおびただしい程の種類の薬の数々。
それと、「悪性がん進行抑制」と表記された紙。
悪性がん…?
北海道のあっくんがいる病院に着いたのは、日付も変わって少し経ったぐらいの時間だった。
濵田くんが言い終わる前に部屋に飛び込む。
――バチンッ!!!!――
私があっくんの頬を叩いた音が部屋に響く。
そう言いながら部屋から出ていくジャニーズWESTのメンバーさん達。
持って来た薬をあっくんに投げつける。
さっき、薬と一緒に見つけた紙をあっくんの前に叩きつける。
あっくんは何にも言わず、長い沈黙が続いた。
自分でも分かるくらい、目に溜まっていく涙。
不意に呼ばれ、あっくんの方を見ると手を広げている。
ダメなわけないでしょ…。
私はあっくんの腕のなかでたくさん泣いた。
なんであっくんなの…?
朝までの日常が全て崩れていった。
え…?
表面上強がってみたものの、精神的には今にも壊れそうだった。
そう、部屋から出ていく。
部屋を出た瞬間、膝から崩れ落ちた。
もって1ヶ月って何…?
1ヶ月後にはもう、あっくんはいないの…?
自分でも驚くぐらいの量の涙が溢れてきた。
濵田くんに呼ばれ、ジャニーズWESTメンバーのいる所へ行った。
そう言って渡されたのはあっくんからの手紙だった。
まるで、遺書みたい…。
そんなの、そうするに決まってんじゃん…っ。
あっくんのいる部屋に戻るとあっくんが眠っていた。
あっくんの頬に手を当てる。
返事の代わりに寝言で答えるあっくん。
この愛しいあっくんがいなくなっちゃうの…?
嫌だ…。
そんなの…、嫌…っ。
また、溢れ出す涙。
今度はどう頑張っても止めることが出来なかった。
3週間後のこと。
『じや、行こっか』と言って私の手をひくあっくん。
これが最後のデート…。
あっくんのおかげで、デートの間はあの事を忘れることができた。
でも、楽しい時間はあっという間で…。
堪えきれなかった。
今日は…今日だけは泣かないって決めてたのに…っ。
気を紛らすために歩き出したその時だった。
あっくんに腕を引っ張られ後ろに倒れこむ私。
それと同時にものすごい音がした。
目の前には血まみれで倒れてるあっくんの姿。
もう、あれから1年経つんだ。
あの頃のことを思い出すと、今でも涙が溢れる。
あれ、なんであっくんがいるの?って思ってるでしょ(笑)
実はね…、
優しい手で私の涙を拭うあっくん。
―――――――the end
ANNA👄🦈さんリクエストの作品でーす!
どうでしたか???
書き終えてから気づいたのですが、もしかして、リクエストされたのって恋愛的な意味の『切ない』感じですかね…?
勝手な解釈ですみません💦
リクエストくだされば新しく作れるので気兼ねなく、言って下さいね✨
お気に入り🌟、いいね❤️、リクエストまってまーす!
バイバイ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。