え...?
血...?何で?
何で私は、血の付いた包丁を持っているの...?
「ヒトゴロシ。」
違う。違うのに...
「じゃあ、何でお前の目の前に死体がある?」
...え?死体?
私は、恐る恐る、前を見る。
人間の、死体だ。
血をダラダラ流している。
私が、殺した...?
「ヒトゴロシ。」
違う。
「ヒトゴロシ。」
違う!
「ヒトゴロシ。」
嫌だ!
「ヒトゴロシ。」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
夢、か...
「ヒトゴロシ。」
その言葉が頭の中で、何回もリピートする。
違うのに、違わない気がする。
部屋の外で、千歳が私に話しかける。
何か、嫌な予感がする...
────────────────────────────────
『ゲームスタート。』
増え、鬼...
えっ⁉もう⁉
結先輩がそう言うと、楓先輩、不破先輩、結先輩の
順で走り出した。
千歳はそう言って、私の手を掴んで引っ張って
走り出した。
確かに...
何か、運、悪いなぁ...
死なないと、いいけど...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!