第28話

デアイ Ⅴ
780
2019/01/07 13:00
ガラッ!





剣道場の扉が勢い良く開く。


千歳といる所を何度か見たことがある。

弓道部の部長だった。


走って来たのだろうか。息が荒い。


弓道部の部長は、息を調えた後剣道場を見回す。

少しして、私の隣にいる結先輩に目線がいくと
ピタリと体が静止する。
不破 咲田
ゆ..い...?
弓道部の部長が、結先輩の名前をゆっくりと
口にする。

すると、結先輩は一瞬驚いたような顔をしてから
まるで何かを待っていたかのように、優しく
微笑んで、
花江 結
咲田。
と、弓道部の部長の名前を呼んだ。
夏目 彩葉
あ、あの...先輩....?
夏目 彩葉
外で話しません?
周りの空気が気になる....























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片岡 楓
カレー、できました。
楓先輩はそう言って、カレーが盛ってある皿を
テーブルに置く。
夏目 彩葉
わぁ!いっただっきまーす!
私はそう言って、カレーをスプーンで食べる。

あれ...?
夏目 彩葉
いつもと違う...
如月 千歳
そりゃそうだろ。楓先輩が作った
んだから。俺は手伝っただけ。
だから味が違ったんだ...
片岡 楓
口に合わなかったかな...?
夏目 彩葉
いえ!凄く美味しいです!
花江 結
いやぁ。楓君やっぱ天才。
結先輩はそう言って、カレーを頬張る。
如月 千歳
それにしても、部長ってこの
マンションに住んでたんすね。
不破 咲田
それはこっちの台詞だよ。
ここは、私の家。

弓道部の部長、不破先輩はこのマンションに
住んでいたことが、ついさっき判明した。

そして、不破先輩は結先輩の幼馴染みらしい。
夏目 彩葉
ていうか、結先輩!
夏目 彩葉
何で楓先輩と同居してるんですか?
花江 結
じゃあ、質問です!
え?急に質問?
花江 結
何で彩葉ちゃんは千歳君と同居
してるんですか?
えっと、それは...
夏目 彩葉
お金がないから...
花江 結
それは、彩葉ちゃんたちだけじゃ
ないよ。
それって、つまり...
夏目 彩葉
先輩たちも同じ理由なんですね!
花江 結
その通り。
不破 咲田
あー。俺も結と同居したーい。
ななな何を言ってるんですか⁉この先輩...
花江 結
3人は狭いから駄目でーす。
不破 咲田
えー。
和むなぁ...この二人。
夏目 彩葉
あ!そういえば!
花江 結
ん?
夏目 彩葉
さっき、不破先輩が剣道場来た後、
結先輩と不破先輩で話してた
じゃないですか。
夏目 彩葉
何話してたんですか?
私がそう言うと、結先輩は何かをためらってから、
花江 結
彩葉ちゃん。話しがあるんだ。
と真面目な顔でそう言った。
夏目 彩葉
話、ですか...?
私がそう言うと、結先輩はこくりと頷く。





















何の、話だろうか。

少しだけ、聞くのが怖い。


聞いてはいけないような気がする。

あの夢と何か関係がある気がする。


もし、関係があったとしたら私は...


















人殺しになる...?

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