家に着いた私。
玄関のドアを開けるとお母さんが仁王立ちで
立っていた。
私はお母さんに話しかけられたことを無視し
靴を揃えて脱ぐと、自分の部屋に向かう。
そんな私の肩をお母さんが掴んだ。
お母さんは怒鳴り顔を引き攣らせると、私に
向かって手を振り上げた。
あぁ、また私を叩こうとしているのか…。
私はしゃがみ、お母さんの攻撃を避けると、
そのまま2階へ。
後ろからお母さんの怒鳴り声が聞こえる。
それを無視すると、自分の部屋に入った。
私は細く息を吐きながら、その場に座った。
今思えば、私はいつもお母さんのいいなり。
お母さんの言うことに従い続けた。
でも、もう終わり。
私は優等生でも天才でも何でもない。
何となく、私はスマホを床に置くと、じっと
見つめて「解除」と唱えてみた。
スマホは触っていないのにロックが解除され
ホーム画面が映っている。
す、凄い…!!
次に「タクヤにメール」と心の中で唱える。
すると、メール作成画面が出て来た。
私はその調子でスマホを床に置いたまま、
心の中でメールの内容を唱えていく。
すると、どんどん画面に触れていないのに、
文章が作成されていった。
title:今度遊ぼうよ〜
久しぶりに今度遊ばない?
最近、タクヤさ。部活とかで忙しいから遊ぶ
機会もないでしょ?だから、今度遊ぼ!
「送信」そう思うだけでメールは送信された
『そうだな!そのうち遊ぼうぜ!』
タクヤからの返信がきて、私は一安心。
お母さんは会社でも優秀な社員らしい。
そして、自分に対する扱い方についての愚痴
を私はよく聞いていた。
その愚痴を流して、お母さんが完成させた
資料もぐっちゃぐちゃにして、精神的に追い
詰めていって……
考えるだけで私の顔はニヤける。
正直、お母さんが死んでも私は悲しまない。
私のお父さんはとてもいい人だ。
いつも優しくて面白いことをしたりする。
ある日、お母さんは私への教育方針で喧嘩に
なってお父さんを家から追い出した。
私はお父さんと過ごしたい。
そう思うと、お母さんは別にいらなかった。
夜中、お母さんが寝た頃…
普段なら、こんな時間にベッドから出たら、
確実に怒られる。
だけど、耐えるのもあと少しだけ。
私はお母さんの荷物が置いてあるリビングに
行くと、バッグの中からパソコンを取り出し
パソコンを開くと、パスワードを解いた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。