第23話

天使と死神 〜4〜
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2020/02/24 12:36
ノエル
おつかれ〜!!
ザク
ありがとう。
高いビルの上でザクを待っていると、いつも
通りの姿でビルの上に着地した。
ノエル
ユイちゃん、どうなった?
ザク
レンがずっと後悔していたこと
を知って、失敗。”黒い彼岸花”
を刺しといた。
ノエル
そっかぁ…
失敗かぁ〜…。
残念だけど、まぁ、面白かったしアリかな?
ユイちゃんは視界が狭かった?
周りの何人かはあの先生に訴えに言っていたのに…
もし、レン君が言いに行ったのがユイちゃん
が”黒い彼岸花”に復讐を望む前だったら結果
は変わっていた?
私には分からない。
だって、そんな未来にはならなかったから。
そんなことを考えながら、私は手元の分厚い
本に観察記録をつけていく。
ザク
てか、ノエル。
ノエル
んー?
ザク
今回、俺が行ったのでどんな風
に人間と話したらいいのかとか
分かったよな?
ノエル
何となく?
ザク
何となくって…
ザクの呆れたような声が聞こえた。
ノエル
だって、自信ないもん。
ザク
取り敢えず、次の標的のところ
に潜入出来るか?
ノエル
う〜ん…もう少し様子見たい!
ザク
まぁ、別にいいけど…。ちゃん
と行ってくれよ?見本を見せろ
って言うから行ったんだし。
ノエル
はいは〜い!!
人間といたから喋り方が変わった?
帰ってきたザクと話していて、そう思う。
人間といる時間が長いと喋り方も昔に戻る…
とか?
ノエル
…ねぇ、ザク。
ザク
何だ?
ノエル
リクト君だった時、その生活は
楽しかった?
”リクト君”と聞き、ザクが少し肩を揺らす。
ザク
最初は…全く楽しくなかった。
生きる意味があるのか、あるの
ならそれは何なのか。友達とか
は要らないんじゃないか。それ
ばかり考えてたな。
ノエル
最初ってことは?
ザク
ああ、途中から楽しくなった。
アイツにはいつも振り回されて
こき使われててな…それでも、
優しい良い奴だった。
ザクの声は少し楽しそうでいい思い出なんだ
ろうと私は思った。
ザクの人間の頃、リクト君が死んだのは確か
何十年も前。ザクの言う”アイツ”ももう大人
になっているはず。
ザク
だけど…アイツは俺の代わりに
死んだ。
ノエル
そっか〜…
死んじゃったのか〜…
もし生きてたら話を聞きに行ってみようかな
って思ったのにぃ…。
ザク
例え、生きてたとしてもババア
になってるさ。
私が不満そうな顔をしていたのか、ザクが
付け足しでそう言った。
グチグチ言いながらも、観察記録を書き終え
私は前のページを見返す。
あ、これこれ。リクト君の記録…
【名前】如月きさらぎリクト
【年齢】XX歳
【願望】復讐
【記録】初めての復讐の願い


ザク
何だ、俺のもつけてたのか。
ノエル
まぁね!今までに叶えた全員の
記録が書いてあるの!
ザク
あれ、ここ間違ってるぞ。
ノエル
え?……あ、本当だ。
ザク
しょうがないな。俺が最初から
全部話してやる。だから、違う
ところは直しておけ。
ノエル
ありがと!
ビルの屋上に座ったザク。私もその向かい側
に座った。
私は話してって言ってないけど…
まぁ、自分から話してくれるみたいだし、
結果オーライだよね!!
ザク
あの頃の俺は…独りだった。
そうして、ザクの昔話は始まった。

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