帰りもここまで迎えに来るって約束なのにいつまで経ってもユンギは現れないから嫌気がさして、一人で校門を出て歩き始めた。
迎えの車を呼べばいい話だけど、私は来週開催されるパーティの為にも出来るだけ体を絞りたかったのだ。
歩き始めて数十分がたった頃。
薄暗い夜道に何だか気味が悪くなってきて、やっぱり迎えの車を呼ぼうと立ち止まって携帯を取り出そうとしたその時だった。
ヒタリと首元に冷たくて無機質な何かが当てられ、
耳元でする低い男の声に体が硬直した。
恐怖で震える体から何とか声を絞り出す。
幼い頃からそうだった。
私と仲良く遊んでいた子達も、私に告白してきた男子も皆、金とパパに気に入られようとする事しか考えていなくて。
男はそう言うと、私の首元に鋭いナイフの刃を立ててそのまま勢いよく手を動かそうとした。
ぎゅっと目を瞑ると、同時に滴り落ちる涙。
私は最後に助けてと心の中で叫んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。