〈隼side〉
昨日、あなたちゃんに
”心配してもらわなくて平気です”
って言われて
LINE送ったけど
既読付いたまま返信無しで
俺、何かしたかな、、
って考えてたら
俺がまた溜め息ついたら
メンバー皆が
はーい
って楽屋を出ていく
俺も重い腰を上げて楽屋を出る
楽屋の外には玲於が居て
なんでか。
なんてあなたちゃん本人に聞かないと分からないけど
今、この避けられてる状況で
簡単に連絡なんか出来ない
なぁあなたちゃん。
何があったの、?
あなたちゃんの涙の訳を教えてよ。
撮影中もそればっかり考えてたら
カメラマン「隼くん表情暗いかな、?もっと笑顔にしてみて!」
「デート企画だからさ!」
なんて言われて
笑顔で、、?
あぁ駄目だ、、
あなたちゃんの顔が頭から離れない、
俺とペアのモデルさんにまで心配されて
見苦しい嘘。
そう言って手を組んでくるナオちゃん
カメラマン「あー、そっちの方がデート感出てる!」
「それでいきましょうか」
この撮影、今までで一番長い期間の企画
春夏秋冬のデートを再現する為に
一年間通しての企画らしい
一年の間に、あなたちゃんとまた仲良くなれる、?
って、気が付けばあなたちゃんのことばっかり考えてる俺
カメラさんの
じゃあ撮っていきまーす!
って声に我に返って
笑顔を作った
〈あなたside〉
コーヒー屋さんに行かなくなった私は
夜のカフェでの仕事しか一日の予定の中にない
今は16:50
仕事は18:00からなんだけど、、
少し化粧をして
身支度をしてから家を出る
「人肌が恋しくなる季節」
って言うけど、
こんな時、隣に人が居たら
確かに暖かいんだろうな。って……
そう思った時、頭の中に浮かぶのは隼くんの顔で
だめだめ、って頭を振る
溜め息をついて
マフラーに顔をうずめてから
少し早歩きでカフェまで急ぐ
私が夜に仕事しているこのカフェは
結構新しいカフェ
外見も店内も優しいオーラが漂ってて
あのコーヒー屋さんとは違う雰囲気
オーナーは女の人で、サラさんっていう。
サバサバしていて、すごく頼りがいがある人
さっきも言った通り、
結構新しく出来たからか
昼間はお客さんが多くて、
あんまり接客は得意ではないから
夜の時間帯でいつも入ってる
そのカフェについて、
わざとペンキが剥がれたようなデザインの白い扉を開ける
こんな感じで、私のことをよく分かってくれてて
第二のお母さん。って感じ
そっかー、、
って呟いたら
女の勘ー、
って笑ってるサラさんは綺麗で
隼くんが好きそうな女の人だな、
ってふと思って
いつでもどこでも。
何かとあれば隼くんが頭に浮かんできてしまう
自分で淹れたであろうコーヒーを飲みながら
話を聞いてくれるサラさん
本当に忘れたいのなら
とっくの昔に忘れてる。
そう。何もかも。
住んでる世界だって、
元々の性格だって
隼くんとは180度違う
私の目をしっかり見つめて言うサラさん
隼くんは、なにか思ってることあるのかな、、
今日、、連絡してみようかな、、
って思えたのは、サラさんのお陰
二人のすれ違いが解決するのはもうすぐのお話
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。