第6話

幸せ
1,224
2018/12/25 11:00

〈隼side〉

”元カレ”

ってたった三文字が昨日から俺の頭を埋め尽くす
隼
はぁ……


ましてや、、亜嵐くんなんて、、



敵うわけがない。


珍しく一番に来た楽屋



一人溜め息をついたら
タイミングよく開く楽屋の扉
玲於
玲於
おはよございまーす、って、隼
隼
お、玲於おはよ、
早かったね
玲於
玲於
まぁね、


そう言いながら俺の隣に座る
玲於
玲於
ねぇ隼
隼
んー?
玲於
玲於
何かあったっしょ
隼
え、?


驚いて玲於を見ると
玲於
玲於
しかも、コーヒー屋関係してる
隼
玲於ってエスパーだったりする?
玲於
玲於
バカ、お前が分かりやすいだけだわ
玲於
玲於
…で?何があったの


このまま黙っとくのも変だったし

俺も俺で、誰かに言ったらスッキリする気がしたから


コーヒー屋でずっと気になってる女の子がいる
ってこと

でもその女の子は亜嵐くんの元カレだった
ってこと


全部話した
玲於
玲於
まじか、
隼
まじ、
玲於
玲於
でも、別に亜嵐くんは関係ないんじゃね?
隼
え?
玲於
玲於
だって、もう別れてるんだろ?

それに高校の時って、今更なんだ。って話よ
隼
……でも、あの女の子が
亜嵐くんと俺を比べたりするかもしんないし、
玲於
玲於
比べられるからって自信無くすことねぇじゃん


”自信無くすことない”

ってその一言が少し俺を軽くした気がした
隼
うん、
玲於
玲於
隼なら、いつもの隼で行けばいいんじゃね?
隼
ありがとう
玲於
玲於


その会話が終わった直後に

また扉が開いて
亜嵐
亜嵐
おはよーござーまーーす
そんな呑気な挨拶をしながら入ってきた亜嵐くん
玲於
玲於
おはようございまーす
隼
おはようございます
亜嵐
亜嵐
え、なんか二人早くない?笑
玲於
玲於
たまたま早く起きただけっす笑
隼
俺も、笑
亜嵐
亜嵐
そっかそっか、笑


そう笑いながら椅子に座る亜嵐くん
玲於
玲於
亜嵐くん、今日って何の仕事ですっけ
亜嵐
亜嵐
今日はー、、モデルさんと撮影だね。

長めに企画やるみたいだよ
玲於
玲於
え、どんな企画っすか
亜嵐
亜嵐
そこまで知らないけど、、
玲於
玲於
分かりました、
ありがとうございます
隼
ちょっと俺飲み物買ってきますわ
玲於
玲於
コーヒー屋に?
隼
いや、自動販売機笑
亜嵐
亜嵐
自動販売機ね、笑

行ってらっしゃい
隼
はーい



そう返事をしてから

楽屋を出る




自動販売機に行くと、ちょうど窓から外の景色が見えるようになってて

ガコンッって落ちてきた缶コーヒーを取って


外の景色を眺めながら蓋を開ける

眺めてたら、

外にあなたちゃんが歩いてて。

隼
えっ、あなたちゃん


さすがに窓を開けて
あなたちゃーん!って叫べないから



また今度コーヒー屋に行った時で良いか
って思ってたら



変な男に絡まれてるあなたちゃん



あなたちゃんの顔はこわばっていくばかりで
隼
…っ



”あなたちゃんが危ない”って

その一心で外へ出ていく



外に出たら
腕を掴まれてて
隼
その子、嫌がってますよ

って声をかける

驚いてこっちを見たあなたちゃんの目には
涙が溜まってて
隼
そろそろ、離しません??

そう言いその男を睨むと


男居たのかよ…
って言って去っていった
隼
っ、あなたちゃん、大丈夫?
貴方
貴方
……隼くん…
か細い声で俺の名前を呼ぶあなたちゃん
隼
どこも痛くない?
貴方
貴方
…うん、大丈夫
隼
良かった、

そう言うと、
貴方
貴方
迷惑かけてごめんね

ありがとう。

ってフワッって微笑むあなたちゃん


その顔はすごく大人っぽくて。




亜嵐くんと付き合う理由が分かった気がした
隼
………あの…さ
貴方
貴方
ん、?
隼
また何かあった時とか、、だめだから

連絡先、交換しない?
貴方
貴方
………え?!
隼
え、あぁ、嫌だったら大丈夫だから!

急にごめん
隼
もし良かったらなーって…
貴方
貴方
………隼くんが……いいなら
隼
えっ、ほんと?!

ありがとう、!

それから連絡先を交換して


新しい友だちの欄に
”あなた”って出てくる



そのことがすごく嬉しくて。



俺やっぱりあなたちゃんが好きなんだな
って、実感した
隼
ありがと!
貴方
貴方
うん、!
貴方
貴方
じゃあ、!
隼
じゃあね、!

最後にニコッって笑顔を残して帰っていったあなたちゃん


あなたちゃんが見えなくなってから
会社の中に入って



急ぎすぎて自動販売機の横に置いたままだった
缶コーヒーを取ってから楽屋に向かう
隼
ただいまー
亜嵐
亜嵐
うお、やっと来た
玲於
玲於
お前どこ行ってたの
隼
まぁ、色々あったの、笑


二人は納得してなかったみたいだけど



俺からしたら

言ったら幸せが逃げちゃいそうな気がして
言いたくなかった
貴方
貴方
マスター、私、今すごく幸せ!
あなたちゃんは言ってる。ってことは知らずに、笑

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