あの日 先輩は悪魔に調理された
私は両足を失った。運動神経が多大に損傷されておりもう二度と自分の足で歩くことはできなくなった。
そして 警察でもないただの´人´になった
「雷夜ー何撃っちゃってんのー私の仕事が多くなるでしょー」
足音を響かせなが手慣れた手つきで永藤はポケットからナイフを取り出し手袋をして先輩の服を引き裂き皮膚を私の隣で切り裂き始めた。ナイフを丁寧に使いジャラジャラと恐ろしげな道具を用いて先輩のにごった眼球を抉りとり心臓の部分に手をいれ握ったり離したりを数回繰り返した後何かを見つけたような表情で手を体から抜いた。ニコッと笑い私に手を開いてみせてくれた。普通じゃない形の銀色の銃弾だった。その後先ほどの鉄パイプで先輩の赤黒い肉片を飛ばしながら目が無くなった顔を数回殴り何ごともなかったように手を降りながら去っていった。雷夜は私に「青垣さんって賢いですね。ちゃんと録音してましたね。」と伝え、先輩の残したレコーダーをつまみ上げた。「あなたの体とこのレコーダーどっちを壊されたいですか?」と微笑んだ。私は震える手でレコーダーを指差してしまった。
10分ちょっと時間だった
私の知っていた平和は何もかも壊された
雷夜という手の中で
警察の私はあのとき先輩が残してくれたレコーダーを守るべきだった、だけど、もう考えるのは限界だった。目をつぶりたかった。先輩の曲がりきった顔のパーツが毎晩のように夢にでてきて私を追いかける。
あのとき、あの場所で雷夜の伝言は一つ。「永藤のことは秘密にしてくれないかな?全部俺が殺ったってことでよろしくね。効果的な宣伝になるから」
雷夜でも悪魔でもなくただの私が見た好青年の表情で奴は囁いた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!