侑馬は浮かんでいた。
目をつぶって、頭一個分ある水上と透明な天井との間で
相手を待ち続けていた。
水温はぬるく、まるで母の胎内にいるようだった。
彼女をどーしても自分のものにしたいと言ったあのとき自分はどうかしていたが後にはひけなかった
自分、顔は悪くない方だと思う
性格もひどくはないし裏という裏はない
でも、昔から独占欲だけは強く外で飼っていたウサギを独り占めしたく思わず殺してしまった経験がある。
誰にも言えていないが…
雷夜って人を通じ彼女は目隠しをされてイスに座っていた。
彼女には今、聴覚と味覚と嗅覚しか与えられていない
触覚は麻酔をうってあり感じられないはずだ
手足を拘束されていて少し前まで動いていた部分と金属が擦れて赤く血がでている。
自分が動くと水は波うつ
彼女にはその音が聞こえているはずだ
彼女の聴覚は今自分が支配していると思うとたまらない
彼女は僕をみてどんな顔をするだろう?
怒りだすだろうか、いや、彼女は冷静だからしない
驚くだろうか?
どちらにしても楽しみだ。
彼女に僕を好きになってもらう方法として
・つり橋効果
・恐怖へ落としいれる
という2つが提示されたがつり橋効果にした。同じ恐怖を味わえば自然と恋愛感情が生まれるのではないかと思ったからだ。
愛の時間が始まる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!