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第14話

#12 告白。
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2019/02/14 12:53





「圭太……手」



握りっぱなしの圭太に、それとなく訴えてみる。



「あ、ああっゴメン」



慌てて手を離す圭太。



「嫌、じゃないけど別に……」

「えっ?」

圭太の表情が、変わる。

「痛かった」

「あ、ああ……そういうこと?!」



――――なんかぎこち、ないや。



でも、まぁいっか。



「ねぇ。圭太、聞いてくれる?」

「何を?」

「私がお肉を食べられなくなった理由……」



唐突だけど。



「今は、ちょっと、混乱、してるから。今すぐ、じゃなくて良いから……」

「ああ」



小さく答えて、圭太はこっちを真剣な瞳で見つめて。



「聴きたい。俺も。凛花がそうなった理由」



「あと」



急に。



「俺の話も聞いて貰って良い?」

「?」



唐突な逆提案に、私はまだぼんやりした頭で圭太の言葉を受け流す。



「俺さ。さっき凛花が死にかけて思ったんだ」

「……うん?」

「俺、お前のこと好きかもしれない」



「…………えっ」

「えって何その反応」

「嘘…」

「嘘、じゃないよ。さっき自覚したし、なんていうか急過ぎてうまく言えないけど……」



圭太の私をみつめる瞳が、凛と見開かれてる。

無造作にくしゃくしゃっとなったいつもの横髪も、今は静かに息を潜めてるみたいに見える。



「だから、お前の話………聞くよ。っていうか聴きたい」



その言葉に、胸が詰まる。

助けてくれたこと、本当にどうしようもなく有難くて。

心配して、あの時私について来てくれたことも、肉を食べられなくなった私のことを、前から気にかけてくれてたのも嬉しかったから。



圭太は無邪気で、背も高くて。雰囲気も割と好きな感じだから。

前から良いな、と思ったことはあったけど。

私なんて、対象外だって思ってた。

同じ部活の“仲間”だから、仲良くしてもらえてるんだってーーーーー



「急にこんなこと言って、混乱させてたら、ゴメン」

目を逸らす圭太に。

「ううん……」

何て。告げたら良いんだろう。こういう時って……



素直に言ったら良いのかな。





「嬉しい……」



って、告げてみる。



「凛花」



どことなく、目が合う。

何だか急にくすぐったい様な、恥ずかしい様な気分にお互いなって。

訳もなく二人で、ちょっと笑った。





何から話して、何から始めれば良いんだろう。

何も分からないけど。



あの不思議な夢と、私が視た景色と、そしてまだ私がいのちを繋いでもらってここに生きていることと。



全部、繋がっているのかな。







その日、私は初めて病院に泊まって。

隣で一緒に居てくれた圭太と、こっそり生まれて初めてキスをした。







これから、どんな未来を描こう?





たっぷりパパとママに叱られたけど。

波に飲まれたのは怖かったけれど、あれから暫くして圭太と私は付き合うことになった。



お肉を食べられないことも、“食べたくない理由”も、少しずつだけど圭太も理解してくれ始めたみたい。





(僕たちは、人間にテレパシーを送ることにした)



あの話……本当だったのかな?

って、今でも時々考えるの………



海は、あの日から私にとって命を落としかけた恐怖と、圭太と付き合い始めたきっかけのしあわせな思い出と、2つの“思い出の場所”になった。



そう。これは、まだ世の中で“動物”を食べる事が当たり前だった頃のお話―――――――――――







(終わり)

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