プリ小説

第2話

史哉のお願いごと
保坂 あずみ
保坂 あずみ
お願い……? 私に?
副島 史哉
副島 史哉
う、うん

唐突な言葉にあずみはぽかんとしていたが、きまりの悪そうな史哉の顔を見て、はっと我に返る。


内容が分からなければ、引き受けるかどうかも決められない。


まずは、史哉の話を聞いてみることにした。
保坂 あずみ
保坂 あずみ
どういうお願いなの?
副島 史哉
副島 史哉
えっと、協力をしてほしいんだ。
今度、で……デートをすることになって
保坂 あずみ
保坂 あずみ
えっ、デート!? デートするの?
副島 史哉
副島 史哉
うん。
俺もちょっと信じられないんだけど。
1年の子に告白されて……

あずみは生まれてこのかた、異性に告白されたことも、告白したこともない。


つまり、交際経験はゼロ。


友達にはカップルも数組いるが、自分にもいずれ縁が巡ってくるだろうと、それほど深く考えていなかった。


しかし、史哉にもそういう相手がいるということを知って、焦りが生まれる。

史哉に告白してきたのは1年生の女子で、「返事をもらう前に、自分を知ってもらうためにも、一度でいいからデートをしてほしい」と頼まれたらしい。


だが、史哉自身はデートの経験がなく、女の子との交際もしたことがないとのこと。


どんな服を着ていけばいいのかも分からず、困っているのだという。

副島 史哉
副島 史哉
保坂さんなら、ファッションに詳しそうだし、協力してもらえないかな……?
保坂 あずみ
保坂 あずみ
別に着飾らなくても、相手はそのままの副島くんがいいって思ってるかもよ?

あずみの問いに、史哉は首を横に振った。


少しでも相手によく見せたいという思いは、予想以上に強いらしい。
保坂 あずみ
保坂 あずみ
(告白された側だから、カッコ悪いところは見せられないってことか……)

あずみは史哉の頭からつま先まで、じっくり観察した。


平均より身長もあるようだし、体格は程よく引き締まっている。


目元までかかった髪以外、素材は悪くない。


一見奥手で地味そうな史哉がおしゃれに変身したら、なんだかおもしろそうだ。


その理由だけで、あずみは頼みを引き受けることにした。
保坂 あずみ
保坂 あずみ
そういうことなら、いいよ
副島 史哉
副島 史哉
いいの……!? ありがとう!

史哉がほっとしたように笑う。


滅多に見ることのない――いや、おそらく初めて見る史哉の表情に、あずみは一瞬ドキッとした。


一体、どうしたことか。
保坂 あずみ
保坂 あずみ
そ、そしたら、副島くんが持ってる服で、私がコーデを決めたらいいの?
副島 史哉
副島 史哉
ううん。
今まで、私服って特に気にしたことなくて、そんなに数も持ってないんだ。
できれば、服を買うところから手伝ってほしい
保坂 あずみ
保坂 あずみ
……なるほど、分かった。
いつなら空いてる?
副島 史哉
副島 史哉
俺がお願いしてる立場だから、保坂さんに合わせるよ

2人は話し合いの末、次の日曜日に出掛ける約束をした。


それはよいのだが、あずみには1つだけ疑問が残る。
保坂 あずみ
保坂 あずみ
(これもデートなんじゃないの……?)

しかし史哉は安心感からか、頬を緩めている。


デートだとは思ってなさそうなので、あずみは黙っておくことにした。

【第3話につづく】

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naaya
naaya
Web上で作家をしております。 第13回プリ小説コンテストにて受賞し、その際に運営様からお声掛けをいただきまして、この度公式作家になりました。 現在、公式作品『恋の花は、いつか咲く日を待っている。』を毎週日曜日に連載しております。 ぜひよろしくお願いいたします。 ※活動詳細と連絡先は下記のURLからご覧ください。 ※アイコン画像は有償で提供いただいたものです。保存・転載・使用(加工も含む)を全て禁止します。 【HP】https://naaya1213.wixsite.com/utakataroygbiv 【Twitter】@naaya1213