第27話

〈side 理央〉-あの時、気付いた
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2019/02/06 14:04
――最初は、君なんてどうでもよかった。



ーーーーー



「新しいシェアメイト?」

僕はスマホから顔を上げ、右斜め前を見て聞き返す。

そこにある横長のソファには叶と優くんが座っていて、僕の質問には優くんが答えてくれた。

「そうだ。名前は佐藤遙悠。書類あるけど、見るか?」

「置いといて」

見る気などさらさらなかったが、形だけそう言って僕は再びスマホをいじり始めた。

僕が座っている一人掛けのものと優くんたちが座っているもの、そして僕の向かいにある一人掛けのもの、計三つのソファで囲むようにしてある長方形のテーブルに、一枚の紙が置かれるのを視界の端に捉える。

優くんは恐らく、僕が新しいシェアメイトに興味を持っていないことを察している。それでも何も言わずに置いてくれる。

優しい、と思う。


このシェアハウスでは、リビングにはいつも誰かがいて、会話がなくても空気は穏やかで、すごく居心地がいい。

だから僕は結構、今のメンバーでのシェアハウスを気に入っている。

なのに新しいシェアメイトって……どんな男か知らないけど、ちゃんとした人でありますように。

じゃなかったら追い出す。



いよいよ新しいシェアメイトが来る日。ほぼ約束の時間にチャイムが鳴って、僕は玄関へ駆けた。

もしダメそうな奴だったら、僕らの生活を邪魔しないよう言うつもりで。

ところがやって来たのは、

「……よ、よろしくお願い……します?」

特に褒めるところもない普通の女の子だった。

――最っ悪。男でもないとか。

なんで女なんか……俺らの中の誰か好きになられたらどうすんだよ。何考えてんだ優。

……まぁあいつのことだから、何も考えてねぇんだろうな。困ってる奴はどんな奴でも必ず助ける、あいつなら。

ったく、しょうがねぇ……。

「鈴原理央だよ!さっきはゴメンね、ハルチカちゃん。よろしくね!」

俺に惚れさせて、今の生活が崩れねぇようにこの女をコントロールするか。





……と、思ってたのに。

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