第2話

男はみんな
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2019/01/07 05:54
ぞろぞろとみんなでリビングに入る。

「とりあえず家ん中一通り案内するな。ハルチカ、ついてこい」

キャリーバッグを持ってくれている戸上さんが、私を振り向いて言った。

まだショックが抜け切らない私は、小さな声で返答をした。

「……ありがとうございます、戸上さん」

「ええ!?」

「えっ?」

急な大音量にビクッと肩が震える。

戸上さんは「あ、ごめん!」と謝ってから、和やかに笑った。

「『戸上さん』なんて他人行儀な呼び方しないでくれよー。“優”でいいぞ」

「わ……分かりました。優さん」

「ん!よし」

ポンッと私の頭に手を置いて、笑顔のまま顔を覗き込んでくる優さん。

かっこいい人に突然そんなことをされたら、誰だってドキッとしてしまうだろう。

少し早く鳴る心臓を気にしつつ、階段へ向かっていった優さんのあとを追った。


「ここがハルチカの部屋だ」

指差しで教えられたのは、階段を上ってすぐ左にある部屋だった。

3歩進むともう部屋のドア、というくらいすぐだ。

「キャリーバッグ中に入れていいか?」

「あ、はいどうぞ!」

優さんがドアを開けて私の部屋の真ん中あたりの床にキャリーバッグを置く。

そういえばずっと持たせてしまってた……。私お礼言いそびれちゃったのに、何も言わないなんて、かっこいいな。

ありがとうございます、と、胸の中で呟く。

「さて、残り行くか!」

部屋のドアを閉めた優さんがくるりとこちらを向いて、私を追い越し階段右側の通路へ行った。


まず左側にトイレがあって、その先の右側に高崎藍さんの部屋、少し奥にずれて左側に優さんの部屋、さらに少し奥にずれて右側に鈴原理央さんの部屋が並んでいた。

突き当たりの部屋が佐倉叶さんらしい。

「俺らとの生活に慣れても、夜は誰の部屋にも入っちゃダメだぞ?男はみんな狼なんだからな」

「…………」

狼って……。いつの時代の少女漫画だよ。

内心呆れたが口には出さず、頷いておいた。

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