そんな短い言葉で、涼先輩は仲間の輪から外れ、私についてくる。
人気のない暗い廊下に私と先輩、2人。
先輩はもう察しているのだろうか。
笑顔を絶やさない先輩だから、何も読めない。
先輩に近付きたい。先輩の特別になりたい。
そんな感情は沢山溢れ出てくる。
だけど…………
高望みはしない。
先輩が頷くのを確認して、私は話し出した。
舞台に出てきた瞬間に、先輩以外見えなくなった。
たった一言の挨拶ですら、私を幸せにした。
絶対に、先輩の作品を崩さないように、
先輩に選んでよかったって思って貰えるように、
頑張ろうって思った。
色々な思い出が頭をよぎる。
先輩の踊る姿が、笑う姿が、
全て鮮明に思い出される。
私はそんな記憶全てを優しく包み込み、
ゴクリと唾を飲んだ。
そして。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。