第2話

2歩目
499
2018/11/01 10:46
木田遥斗
やっぱり、俺のこと見えているんだ~
 私の目の前に、木田遥斗がいる。それも、幽霊となって私の前に現れてきた。
 遥斗は私のベットに座る。
由良
ど、どういうこと!?
木田遥斗
どういうことって言われてもねぇ?
由良
どこから入って来たの!?
遥斗は、窓の外を指さす。
由良
嘘でしょ。窓からも入ってこられるの……
木田遥斗
まあ、幽霊だからね
キランッと効果音の出そうなウィンクをしてくる。
由良
分かりましたから、お引き取り下さい!今すぐ!
私は、窓の外を指さす。
木田遥斗
そんなこと言わないでよ。由良は俺の彼女になったでしょ?
由良
あれは、夢の中でのことなので無効です!
木田遥斗
えー俺は由良のこと好きなのに。ダメ?
由良
そ、そんな顔で言っても駄目ですからね!
    私は、幼い頃から死んだ人が視えていた。視えているだけではなく、寄って来やすくもあった。そのせいで、周りの人達から理解してもらえないことが多々あり小・中学校の時の友達はゼロ人。
だが、私は変わった。不遇な幼少期はおさらばだ!なんせ、私はJ K!友達と遊びまくって、生きているイケメンの彼氏を作るんだ!目指せ、リア充!
由良
とにかく、私は制服に着替えるので出て行って下さい!
木田遥斗
はいはい。出て行くよ
遥斗は壁をすり抜けて部屋から出て行った。







由良
出て行ったんじゃないんですか!?
私は遥斗をあしらいながら高校へと足早に向かう。遥斗と話しているところを人に見られたくなくて、なるべく人通りのない道を選んで歩く。
木田遥斗
着替えている間だけ出て行っただけだよ。それにしても、セーラー服の女子高生もいいね。あっ、由良だから可愛いのかな?
由良
その言い方、おじさん臭いですよ
由良
付いてこないで下さい!困ります!
木田遥斗
そんな、つれないこと言わないでよ
由良
当たり前のことを言っているだけです!
第一、木田さんは私以外の人には視えないんですからね?話しかけられても私が困ります!
速やかに成仏するか、どこに行ってくださ、きゃあっ!
不意に私は何かにぶつかって地面に尻餅を付く。
由良
痛たたー
おい。大丈夫か?
私の目の前に手が差し出される。
由良
す、すみません!ありがと、ひいっ!か、柏木くん……
私に手を差し出してくれているのは同じクラスの柏木隼人。
 切れ長の目に不機嫌そうな口元。眉間に皺が寄っているせいで、目つきが怖すぎることになっている。一部の女子には「孤高のヤンキー」と人気があるそうだがその魅力が私には分からない。
何故なら、私が苦手な人だから。
由良
(私の馬鹿!よりによって、柏木くんにぶつかるなんて!ど、どうしよう!?校舎裏に呼び出されてボコボコにされちゃうよー!)
隼人が、私を見下ろしてくる。
隼人
おい、いつまで座っているんだ?
由良
は、へ?ああ!ごめんなさい!次から気を付けます!本当、ごめんなさい!
隼人
別に、俺も前を気にしてなかったからお前が謝らなくてもいい
由良
(あれ?案外、優しい?)
隼人
おい、さっきから何見たんだよ
由良
ひぃっ!ち、違います!ガンつけてるとかじゃないです!えーっと、あれです!ドーナツみたいな雲が浮かんでいたんです!
隼人
は?ドーナツ?何言ってんだ?
由良
と、とにかくごめんなさーい!!
隼人
あ、おい!
私は隼人の制止を気にせずにそのまま逃げるように走った。
 学校に着けばとにかく安全だ。私は通学路を無我夢中で走る。
由良
(そういえば、さっきから何か忘れているような……?)
由良
あっ!木田さん!
さっきまで、私に憑り付いていた遥斗がどこにもいなかった。

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