朝、学校に着いてすぐに蘭ちゃんは山田くんの腕を引っ張って、どこかに行ってしまった。
山田くんもいつもと変わらない様子で挨拶してきた
『おはよう、桐山さん。』
「あ、お、おはようございます。」
戸惑いながらも、挨拶を返した
その直後に蘭ちゃんが山田くんを連れていった。
二人がいなくなった後の教室の五月蝿さは異常だった。
『え、あの二人ができてたの!?』
『あなたさんだと思ってた~!』
『でも、意外とお似合いじゃない?』
『あっ、それ私も思った!』
蘭ちゃんはそのまま2時間サボって3時間目に戻ってきた。
その顔は…とても晴れやかだった。
何かいい事があったのか?と疑うほどの笑顔で私の席のところに来ると
『あなた、頑張って!』
なんて言う、よく理解できないエールをされた。
「あ、ありがとう?」
疑問形で返事をした。
蘭ちゃんは満足気に微笑むと、私の前の席についた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。