山田くんside
俺が下駄箱に行くと、あなたと日向がいた。
「桐山さん。」
後ろから声をかけた。
ビクッと肩を上げ、あなたが振り向く前に…。
腕を引っ張っていた。
『……!』
『えっ?』
あなたと日向は同時に声を上げ、俺はあなたを抱き締めた。
小さいな…。
そんな事を考えていた。
『ちょ、はなし「君が日向 棗くん?」
俺はあなたの声にかぶせて言った。
昼休みもそうだったな笑
『そうだけど…。』
日向は俺を睨んでいる。
俺の腕の中ではあなたがジタバタしていた。
離したくなくて、日向に見せつけるかのように更に腕に力を込めた。
「こいつに何か用?」
自分でも驚くくらいの低い声が出た。
『一緒に帰ろうと思って。』
「無理。」
更に日向は俺を睨んた。
ふとあなたを見ると、抵抗をやめて何やら色々な表情をしている。
「ふっ、なに百面相してんの…笑」
あなたが顔を上げた。
可愛いな。
『し、してないよ。』
そう言ったあなたは顔を日向の方に向けた。
まるで
“助けてよ、日向くん。”
と言ってるような表情で。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。