私達の何を勘違いするんだろう。
「どういう意味?」
『………はぁ』
秋人は私から視線を外して溜息をついた。
なんか…ムカつく。
『だーかーらー』
言いたくならそうに秋人は視線を下にしてから、私を見た。
その顔は…ニヤニヤしている。
『俺達を〝彼氏彼女〟だと勘違いしてんだろ。』
かれしかのじょ…カレシカノジョ…彼氏彼女!?
「なんで!?」
『あなたさー、兄がいるって誰かに言った?』
「私は蘭ちゃんだけだよ。」
蘭ちゃんにしか教えていない。
『俺に妹がいる事を知ってる人は…いない!』
は?なんで?
「親友の重岡先輩は?」
秋人には重岡大毅 (しげおか だいき)という親友がいる。
『言ってねーよ。』
「なんで!?」
今日は凄く何で何でと言ってるきがする。
私は秋人に面倒くさそーな顔をされた。
『いいから、早く帰るぞ。』
今度は私が秋人に手を引っ張られた。
たまに聞こえてくる他校の人たちの声で、さっきの秋人の言葉に納得せざるを得なかった。
『あの2人、美男美女だねー!』
『ちょ~お似合い!!』
『いいなぁ~!』
『俺もあんな美人の子が彼女に欲しいな!』
『私はあの人みたいなイケメンが彼氏に欲しい!』
『羨ましい!!!』
『あれはお互いに、自慢だよね!』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。