土曜日なのに人がいなかっ…。
(あそこの机で勉強している人が1名)いた。
後ろ姿ですぐにわかった。
「海人!なにしてんの?」と本を返却して近寄る私。
海人「図書館だぞ、音量下げろ。勉強してねぇとお前みたいに赤点取るからな、もっとお前はな受験生としての自覚を持て。行ける大学ねぇぞ」
私「勉強ばっかりしていたら、モテないよ。今どきちょいバカぐらいが丁度いいんだよ」
しまった。昨日の盗み聞きを聞いてしまったからこんなこと言うはずなかったのに、、
海人「まぁ、お前の場合は大バカだけどな」
海人はそういって笑顔になる。
海人「あのさ、俺花梨と別れたんだわ」
ど直球だった。
もちろん、「知ってるよ」なんて言えない。ただただうなずく私。
「そうなんだ、ほらやっぱり頭良すぎなんだよ海人は」
と笑い話にする私に対して
「バカすぎてもモテねぇぞ」と反論してくる海人。
私「まぁ、私を必要としてる人なんていないよ」
海人「そうかな」
その一言で一瞬胸の高鳴りを感じた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!