母さんが軽い食事を作ってくれ、それを食べながら息を整えた琥珀がそう言った。
母さんと暁月さんの言葉に2人が黙る。
ムッとしたまま、2人はそっぽ向いた。
白い部屋のときのことを思ったのか悠が笑いながら俺に行った。
ブツブツ言いながら窓に近寄ると、笛を吹いた。
すると、何分かして何処からか鳩が飛んでくると、朱雀さんの肩の上に着陸した。
苦笑いを浮かべながら母さんが紙を取りに行く間、鳩の方を見ると、鳩は床を歩いたり、撫でられて「クルル…」と鳴いたりしていた。
暁月さんは無言で巾着から判子を取り出すと、朱雀さんに向かって投げつけた。
判子を押して、伝書鳩を飛ばした朱雀さんから判子を取ると、余ってた紙に押す。
ポケットを漁り、判子を押す。
その紙を母さんに渡した。それを横から覗く。
紅葉に月の判子と、炎が虫を閉じ込めている判子。
そんな話が終わると、家を出る準備をした。
そして、俺達は昼頃に桜華ビルへと向かった…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!