第36話

白い部屋
307
2019/01/03 12:15
瑠川 美玲
あ、いた。
鹿島 瑚子
おっ、集まったね!じゃあ、早速状況把握をしたいんだけど…
そう言い、瑚子は周りをぐるっと見た。
鹿島 瑚子
…出口のない広い部屋ってことくらいかな?あと、未成年しかいなそう。
源 翔太
さっき命令を見たんだけどさ。成人は未成年を殺せってやつなんだ。でも、これだと成人は命令に服従出来ない。
暁月 未莉
大人の人達、みんな死んじゃうの?
三浦 友哉
いや、そんなはずはない。まず、俺達未成年を寝てる間にここに入れたことさえ何かあるとしか…
伊月 悠
え…
隣でスマホで現在地を調べていた悠が声を漏らす。
三浦 友哉
ん?
伊月 悠
ちょっと、これ見てくれ。
そう言って俺達に見せたのは地図。
地図には現在地が表示されており、それは…大交差点の中心を示していた。
源 翔太
ここが交差点!?
鹿島 瑚子
マジかぁ…
瑠川 美玲
何があるんだろ…
三浦 友哉
……。
その時、俺は嫌な予感以外に何も感じなかった…。
























火ノ神 琥珀
真殿。
夜霧 真
あ、ハク。
周りからの視線に耐えられず、僕は狐面を外して、顔の半分が隠れる布だけを残して部屋の隅にいた。
ハクが僕のそばにしゃがむ。
夜霧 真
どうしたの?
火ノ神 琥珀
今日が"決断の日"となりますが…
夜霧 真
そうだね。
火ノ神 琥珀
どうするんすか?
夜霧 真
もちろん、自分の運命に従うつもり。
火ノ神 琥珀
別にいいんすよ?そんな従わないでも死ぬわけじゃないですし…
眉を下げ、心配そうな表情になるハク。
火ノ神 琥珀
それに…
夜霧 真
それに?
火ノ神 琥珀
真殿の夜霧家に伝わる伝説だと6回目の紅い満月を見ると、不思議な能力を手に入れるって…
夜霧 真
ん?待って、それ初耳なんだけど。
火ノ神 琥珀
え、聞いたことないんすか?
夜霧 真
う、うん…。
火ノ神 琥珀
今さっき言った通りっすけど、まぁ、伝説なんで本当とは…
夜霧 真
大丈夫かな…
火ノ神 琥珀
…俺は真殿が例え、人間じゃなくなってもついていきますよ。俺だけじゃなく、璃紅もついていきます。俺達は…いつでも真殿と柚輝殿の味方です。
夜霧 真
……ありがとう、勇気出た。
元から僕は人間とは言えないけど…
きっとみんなに支えられてきたからここまで生きてこようって思えたのかもしれない。
ユズ、君の話してた"広い世界"の話。
君と一緒に"広い世界"を見てみたかった。
何処まで自我があるか。そんなの分からない。
何処まで僕でいれるか。そんなことも分からない。
頭に浮かぶユズや友哉達との思い出に懐かしさを覚えながら布の下からコンタクトを外す。
前を見て目にする、みんなの心。
僕が一番大嫌いで嫌う。
マントを羽織り、フードを被って呼吸を整える。
これで覚悟は出来た。
紅い満月なんかいつでも見てやる。
そんなことを思っていると、隣で壁に手を当てていたハクが…
火ノ神 琥珀
…外にいる人が多くなってる…。
夜霧 真
…だよね。聞こえる足音に大人くらいの足音が聞こえる。それも後ろから…
スマホでDEATH GAMEの特設サイトを見ていると、とある書き込みを見つけた。
『19時から各地にある白い箱の中に閉じ込められている未成年を解放するらしいぞ。』

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