そう言い、瑚子は周りをぐるっと見た。
隣でスマホで現在地を調べていた悠が声を漏らす。
そう言って俺達に見せたのは地図。
地図には現在地が表示されており、それは…大交差点の中心を示していた。
その時、俺は嫌な予感以外に何も感じなかった…。
周りからの視線に耐えられず、僕は狐面を外して、顔の半分が隠れる布だけを残して部屋の隅にいた。
ハクが僕のそばにしゃがむ。
眉を下げ、心配そうな表情になるハク。
元から僕は人間とは言えないけど…
きっとみんなに支えられてきたからここまで生きてこようって思えたのかもしれない。
ユズ、君の話してた"広い世界"の話。
君と一緒に"広い世界"を見てみたかった。
何処まで自我があるか。そんなの分からない。
何処まで僕でいれるか。そんなことも分からない。
頭に浮かぶユズや友哉達との思い出に懐かしさを覚えながら布の下からコンタクトを外す。
前を見て目にする、みんなの心。
僕が一番大嫌いで嫌う。
マントを羽織り、フードを被って呼吸を整える。
これで覚悟は出来た。
紅い満月なんかいつでも見てやる。
そんなことを思っていると、隣で壁に手を当てていたハクが…
スマホでDEATH GAMEの特設サイトを見ていると、とある書き込みを見つけた。
『19時から各地にある白い箱の中に閉じ込められている未成年を解放するらしいぞ。』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!