09/06 00:00
To:GM
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※全国の中学生から29歳の人が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
命令:現在地から半径250m以内に留まり続けろ
柚輝君と部屋に戻り、無言状態が続く。
夜中だというのに全く眠くならない。
走った疲れも、少しあった食欲も全くない。
ただあるのは寒気だけ。
鏡を見ると、片目が赤く染っている自分が座って、暗い顔で僕を見つめている。
そう答えた柚輝君の声は、普通に聞こえるけど、何処か嬉しそうにも聞こえた。
片耳にしていたイヤホンを取ると、柚輝は布団の上に座って、手招きをした。
僕もその隣に座る。
そこまで言うと、柚輝は下に視線を落とした。
そう、だったんだ…。
じゃあ、あの時の同じは"目の前"で家族を失ったってこと…?
顔を上げ、苦笑いを浮かべる柚輝。
でも、その表情は苦しそうにしか見えない。
柚輝とは少し違うけど、僕は耳が凄い利く。
あの部屋の中でも部屋の外の声まで聞こえていた。
見えないと思って、散々に言って、村の子供達にも言って…
だから、"君"は……
何かを察したように柚輝が話を終わらす。
一言も話すことなく5分程、沈黙が流れる。
褒め言葉なのかどうかは分からないけど、珍しい。
そのことだけは理解が出来た。
早く寝ないと、迷惑をかけるよね…。
柚輝はスグに布団に入ると、寝息を立てた。
きっと、疲れていたんだよね。
ずっと走って疲れてるはずなのに、眠くない。
何かが引っかかってモヤモヤして寝れない。
布団には入って、目を瞑っていたけど、結局は朝を迎えて寝ることは出来なかった…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!