第2話

☪殺気
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2018/10/20 02:01
三浦 友哉
どうしたの?じゃねー。さっき
の”名無し村消滅事件”って本当
は真じゃないんだろ?
夜霧 真
……。
ああ、そのことかぁ…。残念だけど…
夜霧 真
…本当だよ。
三浦 友哉
嘘だよな?
夜霧 真
だから、本当ってば。
三浦 友哉
何で…
夜霧 真
何でって言われてもねぇ…
理由はあるけど、口に出してはいけない。
夜霧家の掟にも書かれていたし。
三浦 友哉
何人、何人…殺したんだ?
夜霧 真
えっと〜…
僕は名前を呟きながら殺した人数を思い出し
数えた。
夜霧 真
…多分、50人ちょい。
三浦 友哉
その時ってまだ3歳だったはず
だろ。3歳児に50人を殺すこと
なんて出来るはずが…
夜霧 真
出来たんだよ。だって…
…夜霧家の中でも珍しくて、あの時に紅い月
を見ちゃったんだから。
三浦 友哉
だって?
夜霧 真
…何でもない。
三浦 友哉
さっきから何かおかしいぞ。
もしも何かあるのな ───
夜霧 真
大丈夫だから!!!
初めて僕は友哉の言葉を遮った。
お願いやめて。これ以上…
…僕を人間に戻そうとしないでよ。
もう戻れないから、一緒にいられないから。
僕を止めないで。
友哉を見ると、驚いた顔をしていた。
三浦 友哉
……。
夜霧 真
…僕と友哉は違うんだよ。もう
ほっといて……
そう告げると、僕は友哉に背を向け歩く。
すると…
三浦 友哉
…真。
いつもの友哉と違う声色。
低く人を嘲笑うような声に聞こえた。
ま、まさかねぇ……
その声に聞き覚えがあった僕。
状況を完全に理解する前に友哉は…
三浦 友哉
コ、ロす……
”殺す”、確かに友哉はそう言った。
背後から強い殺気を感じた。
僕は慌てて友哉の様子を見て距離を取るため
に、後ろを向き飛び退こうとする。
夜霧 真
嘘…
友哉は既に目の前まで迫っていて、僕の腕を
掴みそのまま自分の方に引いた。
そして、僕の鳩尾に膝蹴りを決めた。
まだちゃんと被っていなかったヘルメットが
頭から脱げ、地面を転がっていく。
夜霧 真
う"っ…
1年間昏睡状態だったことにより、僕の体は
去年よりも弱っている。
そんな時に決められた鳩尾への膝蹴りは凄い
重く僕はその場に蹲った。
起き上がろうとした時、今度は頭に強い痛み
が走る。
一瞬、世界が真っ白になり、世界が回る。
どうやら頭を蹴られ、軽い脳震盪を起こしたみたいで体が上手く動かせない。
三浦 友哉
真、残念だったな。
そう言いながら、髪をかきあげた友哉。
その目は人を蔑むような視線で僕の背筋が
一瞬にして凍りつく。
僕が一番恐れていたこと……。
僕が一番嫌いな視線……。
動けない僕を他所に、友哉は近くから太めの
木の棒を拾って近付いてきた。
三浦 友哉
大丈夫、次で殺してやる。
夜霧 真
……。
ニッと笑い、木の棒を僕の頭に振り下ろす。
頭に強い衝撃が加わり、意識が遠のき始め、
このまま意識を手放す気がした。
と、もや……お願い…だか、ら…他の人は…
傷…つけ…ないで……


ゴンッ……!
頭に振り下ろされた2回目。
その2回目で僕は意識を完全に手放した……

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