第21話

✡1枚の写真
280
2018/12/16 12:49
その写真は夜に写したものなのか、周りは暗くて、黒い空には赤い月が浮いていた。
そんな空の下に写るのは和風を着た4人の子供。
並んで写るうちの真ん中に立つ2人は、両脇の子と違い、神職の人のような服装。


髪は珍しい銀髪、顔は布のようなもので鼻より上が見えないようになっていた。
布には紋章がかかれて、何かの像と月と霞が一つにまとめられたものだった。
三浦 友哉
あの、これは…
真ん中の2人は少し違うけど、見覚えがあった。
暁月 朱雀
ん?あぁ、一番右が璃紅、左が琥珀、そして、真ん中にいるのがあの桜華で歌って舞って傷を治した2人だ。
三浦 友哉
いつの頃のですか?
暁月 朱雀
確か…璃紅が10歳くらいだな。
8年前か…。
三浦 友哉
何でこの2人は隠しているんですか?
暁月 朱雀
顔をか?
三浦 友哉
はい。
暁月 朱雀
それはそこの両家にある『平民に正体を晒すことは禁じる』っていう掟があるから。知ってるのは俺達、暁月家、火ノ神家、そして、国の最高トップくらいかな。
三浦 友哉
へぇ…そう言えば、見た感じ同じくらいだけど、もしかして…
暁月 朱雀
この2人も今は18歳。
三浦 友哉
ちなみに強いんですか?
暁月 朱雀
さっきから質問ばっかだな。
朱雀さんは俺の質問の連続に苦笑いを浮かべながらも、手は動かし続ける。
暁月 朱雀
まっ、いいけどさ。答えは強い。特に男の子の家系は満月の日に、女の子の家系は紅い月の日に。でも…
三浦 友哉
でも?
暁月 朱雀
この女の子は家系の中でも特別でな。男の子は生まれた時からこの髪の色だけど、女の子は満月を見ると髪色が変わる。3年に1度の紅い満月、ブラッドムーンを見たら、ちゃんと自我が保てるかどうか…
少し悩むように朱雀さんは頭を抱えた。
でも、スグに顔をパッと上げると…
暁月 朱雀
取り敢えず、強さレベルで言ったら、武装した軍隊とかならもしかしたら、2人を倒せるかも。
三浦 友哉
武装した軍隊って…
暁月 朱雀
性別が女の璃紅でもそこら辺の男共には勝てるから、琥珀ならもっと上をいく。そして、その2人はさらに上だ。てか、そもそも暁月家はそっち向けじゃないし。あと歳近いし敬語じゃなくていいや。
三浦 友哉
あ、じゃあ、うん。そっち向けじゃないって何?
暁月 朱雀
基本、暁月家と火ノ神家はそれぞれの役目がある。火ノ神家は主に戦闘や各地の見回り、暁月家は情報収集と指示ってな。だから、暁月家はここを本拠地に邪魔者になるやつの特定とかをするのが仕事。戦うことなんてない。
三浦 友哉
その間、この2人は?
暁月 朱雀
何もしない。動くと正体がバレる可能性が出るからな。
三浦 友哉
何か…難しい話。
暁月 朱雀
まぁ、何かと複雑なんだ。
朱雀さんが苦笑いを浮かべ、手を止める。
暁月 朱雀
ここで会ったのもきっと何かの縁だ。君にこれから生き残るために絶対に考えなくてはならないことを教える。
三浦 友哉
は、はい!
動かし続けた手を止め、朱雀さんは俺の方を向く。
俺は何故か、ピシッと背筋を伸ばした。
暁月 朱雀
いいか?"友達とは何か"。その答えを探しておけ。
三浦 友哉
友達……。
暁月 朱雀
そうだ。それが分かれば、きっと君は最後まで生き残れる。
真顔でそう俺に言った朱雀さん。
暁月 朱雀
…いい目をしてる。出来るはずだ。
三浦 友哉
ありがとうございます…。
朱雀さんにそう返事をすると、俺は地下の隠し部屋から出た…。

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