家から出ようとした時、美玲が家に来た。
5人で駅に向かっていると…
道の端に二人乗りバイクを停めて、イヤホンをしている明神の姿。
瑚子達にはその場に待ってもらい、俺が1人で明神の方へ。
後ろからそよ風が吹いた瞬間、明神の動きが一瞬止まり、イヤホンを取りこっちを見た。
明神が視線を動かし、俺もそれにつられる。
コンビニの駐車場で真はしゃがみ、女の子、その母親と話していた。
明神の質問に漏らした俺の声は掠れていた。
言葉では否定するけど、実際は図星だ。
真の様子から本当に犯人だと思った。
まぁ、真実は知らないけど……。
そうなると、真は大量殺人鬼。
もしかしたら、殺されるかもしれない。
そんな考えが俺の頭の中を回っていた。
矛盾している答えに俺は苦笑いを浮かべる。
明神は真剣な顔でそう言った。
本当にそれが理解できない。
真をどういう風に見ているのかとか…。
改めて、真に視線を移すと女の子が嬉しそうな顔で真に手を振っている。
真もその女の子に手を振り返し歩いていた。
青信号になった横断歩道を前も見ずに……。
今は誰もがDEATH GAMEで京都に向かう。
それが青信号だろうと。
真の足が横断歩道の真ん中で止まる。
猛スピードの車が横断歩道に近づく。
真の動きは完全に停止し、視線は車に釘付けになっている。
バイクが邪魔となり動けない明神が叫ぶ。
その声が聞こえると同時に、俺は横断歩道に向かって走り出した……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。