第8話

✡理解
302
2018/11/10 12:44
家から出ようとした時、美玲が家に来た。
5人で駅に向かっていると…
伊月 悠
あれって明神じゃね?
鹿島 瑚子
あ、ホントだ。
道の端に二人乗りバイクを停めて、イヤホンをしている明神の姿。
三浦 友哉
…ちょっと明神と話したいこと
があるから待ってて。
源 翔太
分かった。
瑚子達にはその場に待ってもらい、俺が1人で明神の方へ。


後ろからそよ風が吹いた瞬間、明神の動きが一瞬止まり、イヤホンを取りこっちを見た。
明神 柚輝
何の用?
三浦 友哉
真は何処?謝りたい。
明神 柚輝
夜霧ならそこのコンビニ。スグ
に来ると思う。
明神が視線を動かし、俺もそれにつられる。
コンビニの駐車場で真はしゃがみ、女の子、その母親と話していた。
明神 柚輝
…君は夜霧に怯えてるの?
三浦 友哉
え…?
明神の質問に漏らした俺の声は掠れていた。
明神 柚輝
夜霧の姿を見てから、君の匂いが怯えている時にする匂いに変わった。
三浦 友哉
そ、そんなわけ…
明神 柚輝
ある。何?もしかしたら、昔、起こしたみたいに殺されるとか考えているわけ?
三浦 友哉
違う…。
言葉では否定するけど、実際は図星だ。
真の様子から本当に犯人だと思った。
まぁ、真実は知らないけど……。
そうなると、真は大量殺人鬼。
もしかしたら、殺されるかもしれない。
そんな考えが俺の頭の中を回っていた。
明神 柚輝
…だから、君は駄目なんだよ。
三浦 友哉
じゃあ…何だよ。お前は絶対に殺されない自信でもあるのか?
明神 柚輝
いや、ないね。
三浦 友哉
はぁ?
矛盾している答えに俺は苦笑いを浮かべる。
明神 柚輝
君がそう思うなら、あの子は…誰を信じたらいいと思う?俺は夜霧に殺されることになったとしても、最期まで信じるよ。
明神は真剣な顔でそう言った。
三浦 友哉
……お前はさ。何なの?
本当にそれが理解できない。
真をどういう風に見ているのかとか…。
明神 柚輝
…君には分からない夜霧を理解できる相手。俺自身も夜霧といると、少し気が休むよ。
三浦 友哉
そうか。
明神 柚輝
うん。
三浦 友哉
俺はどうしたらいいと思う?
明神 柚輝
何を?
三浦 友哉
この後の生き方とか…。
明神 柚輝
俺が君だったら…改めて、自分の仲間を理解しようとする。今の君は何も見えていない。
三浦 友哉
理解する、かぁ…。
明神 柚輝
そう。翔太だって、美玲だってみんな違う人だからさ。
改めて、真に視線を移すと女の子が嬉しそうな顔で真に手を振っている。
真もその女の子に手を振り返し歩いていた。
















青信号になった横断歩道を前も見ずに……。
今は誰もがDEATH GAMEで京都に向かう。
それが青信号だろうと。
夜霧 真
えっ…?
真の足が横断歩道の真ん中で止まる。
猛スピードの車が横断歩道に近づく。
真の動きは完全に停止し、視線は車に釘付けになっている。
明神 柚輝
ちょっ、夜霧!!!
バイクが邪魔となり動けない明神が叫ぶ。
その声が聞こえると同時に、俺は横断歩道に向かって走り出した……。

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