着物を着て、狐の面を手に取る。
鏡を見て、髪を整えていると昔からうなじに入れられている刺繍が見えた。
夜霧家を表す月と霧、明神家を表す明神像。
それらが合わさって家紋は出来ている。
今思えば、2歳には既に刻まれていたかも。
でも、いい。
この家紋の意味を知る者は限りなく少ない。
家紋を知っても、家紋の意味を知らなければ僕達に辿り着くのは難しい。
振り向くと着替えて髪の染料を落とした柚輝が立っていた。
そう言い、背を向け部屋を出ようとする柚輝。
僕はそこで呼び止めた。
表情はいつも通りの柚輝。
でも…分かるんだ。
柚輝が"匂い"で人の感情が分かるように。
少し驚いた顔を見せた柚輝は「これは誤魔化せそうにないな」と言い、苦笑いを浮かべた。
柚輝の悔しそうな声が僕の耳に届く。
そんな声に…
そう答えていた。
僕の言葉の意味を理解できなかった柚輝を放って、手を引き2人がいる部屋に戻る。
僕と柚輝は朱雀の部屋に隠れた。
隠れた後にも何人かここに探しに来たようだけど、見つからない。
渡された黒いコンタクトを赤い目につける。
はしゃぐ僕と気に入ったのを見て喜ぶ朱雀に柚輝が呆れた声を出したのは聞かないことにした……。
ピロンッ♪
09/09 00:00
To:GM
title:Return
逃した2人✕5000人=10000人に罰を与える。
※全国の中学生から29歳の人が対象です
※24時間以内に命令に従いなさい
※命令に背いた場合には罰を与えます
命令:友達とは何か。その答えを返信しろ。解答権は1人1回、間違えた場合に罰を与える。また、正解が1つとは限らない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!