……返事が無い。
聞こえなかったのだろうか?
『ただいま!』
靴を脱ぎ、もう一度大きい声で私は言った。
それでも、返事は無かった。
私は不安になり、急いでリビングへ向かった。
勢いよく、リビングへ入ると……
誰の姿もなかった。
もしかしたら、買い物に行っているのかもしれない。
都合よく私は解釈をした。
私はソファに座って待っていることにした。
もし、王が私よりも先に来て、お母さんを殺していたら…
そう不安になった。
でも、私は信じた!
必ず、帰ってくると…。
それから時間は過ぎていき……
『誰かいるの!??』
その声で私は目を覚ました。
いつの間にか眠っていたのだ。
もう外は真っ暗だった。
私は玄関まで駆け出した。
『お母さん!』
私はお母さんの姿を見て、大きい声で言った。
でも、お母さんの表情は見るみる怯えていっているようだった。
『警察呼ぶわよ!いやなら、出て行って!』
私は意味が分からなかった。
『何でよ!もしかして、私のこと忘れたの……?』
私は心臓がドクドクして止まなかった。
もし、覚えていなかったらどうしよう。
私の居場所が居なくなってしまう……!
『違う!忘れるわけがないでしょう。後ろの人よ!』
私はそれを聞き、振り返った。
すると、そこには……
『逃げ切れたとでも思っていたか?』
王がいた。
何でこんな早く……。
おかしい。
『一つ、聞かせて!どうやってここへ来た?』
転移魔法を使わないとこんなにも早く来れないはずだ。
『転移魔法……とでも思ったか?どうやってここへ来たかは秘密だ!今はな』
そう言うと、王は消えた……。
いや、消えてない!
王はいつの間にかお母さんの横にいた。
『お前は実験道具の中で一番大事な物だ!簡単に手放すわけないだろう?』
その時だった…!!
王はお母さんのお腹を鋭い剣で貫いた。
私はその瞬間、怒り、憎しみ、後悔という感情に埋もれていった。
『このクソ野郎ー!ぶっ殺してやる!』
私は王に攻撃をし始めた。
これは平和を保つためだ。
勿論、復讐をする為でもある。
ここで絶対に殺す!
今日で全てを終わらせる…!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。