戻る事になった。
そして、歩きながら、話し合うはずなのに、無言の時間が続いた。
何か話さなきゃいけないのは分かってるけど、さっき、言い合ってしまったから気まずい。
私は、琉の方を見た。
でも、琉は、私の方を向かなかった。
ただ、気づいてないのかもしれない。
そして、無言の時間を破ったのは、結愛だった。
『私、何て言ってるのかよく分からなかったです。分かるなら、教えてくれませんか?』
同時に、私は、不思議に思った。
じゃあ、私と琉が何が原因で言い合っていたのか分からなかったってことなのか?
まあ、そんなことは、どうでもいいか。
とりあえず、質問に答えよう。
そう思って言った時、琉と同時に言った。
『逃げてだよ。』
『逃げてだ。』
思わず、私と琉は、顔を合わせた。
けど、すぐに琉はそっぽ向いてしまった。
ずっとこのままだと危険だ。
だって琉は、元は、敵だったから、また、悪い方へ行って、敵になってしまう可能性があるのだ。
それに、私は後悔している。
あの時、琉の意見に合わせて、助けるなんて言わなければ良かったって。
そして、私は決心した。
琉に謝る。
でも、謝ろうとした時、また、声がしたんだ。
『逃げて!早く!そうじゃないと、私は、あなた達を、殺して、しまう・・・。』
声は近い。
近くにいるって事だ。
『走れ!結愛!お前も!』
私は、私も呼ばれた事が嬉しかった。
でも、私は力があるんだ。
声は、近かった。
逃げても、間に合わない可能性が高い。
誰かが囮になるしかない。
なら、私がなる。
琉と結愛の方には、行かせない。
足音がしてきた。
いつもよりも速い。
私は、言った。
『ありがとう。でも、無理だよ。間に合わない。だから、二人は逃げて!遠くに行って!私も後から行くから。閻魔には、気をつけて。あと琉、さっきはごめんね。琉に合わせて、早く逃げるべきだったね。行って!早く!』
でも、その時、琉が言った。
『いや、俺も戦う!』
でも、私は言った。
『ダメ!強い敵かもしれない。死ぬなら、私一人だけの方がいい。だから・・・』
私が言ってるのを遮って、結愛が言った。
『琉、死ぬ覚悟ある?』
『ある。ここで逃げたら、後で後悔するような気がする。』
琉は即答だった。
そして、結愛が言った。
『相手は、相当強い。足音の速さで分かる。だから、私も琉も一緒に戦う。』
『でも!』
私が言おうとした時、結愛と琉が言った。
『戦う!この考えは変わらない。』
『私も戦う!』
私は、もう何を言っても、無駄だと思った。
だから、言った。
『倒せないって決まった時点で逃げてよ。絶対に!それを約束して!』
『分かった!その変わり、本当に無理なった時だけな!限界まで戦うさ!』
琉が言った。
『私も分かりました。でも、限界までは、戦かわせて貰います!』
結愛が言った。
『なら、いいよ!三人で倒そう!』
『おう!』
『はい!』
琉と結愛が同時に言った。
そして、足音は、もうしなくなった。
目の前に来たからだった。
私たちは、真剣な目付きに変わって、警戒をした。
いつ襲ってくるか分からないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。