私は、ダッシュした。
間に合って欲しかったから。
琉、生きてて。
お願い。
そう願った。
そして、私が着いた頃、琉は、お腹から血がドロドロと流れながらも、ふらふらしながらも、最後まで頑張って、諦めずに戦っていた。
きっと、あの鋭い刃物でお腹を刺されたんだろう。
相手は、武器を沢山持っている。
あれを一つだけでも奪えればいいんだけど。
その瞬間、琉が倒れてしまった。
相手の少女は、唸り声を出しながら、琉にトドメを刺そうとしていた。
でも、唸り声に混じって聞こえた。
助けて、殺したくない、逃げて。
この三つ以外にも何か言っていたが、何て言ってるか分からなかった。
この三つも聞こえずらかったが、何とか聞こえた。
私は、一瞬、琉が危険なことを忘れていた。
一番、忘れてはいけないのに。
私は、すぐに相手に魔法を当てた。
こっちに気づかせるためだ。
それと同時に、琉を魔法で持ち上げ、私の方の後ろまで連れてきた。
そして、言った。
『あとは、私に任せて!隙を見て逃げるよ。』
そう言って、私は相手に魔法の属性を全部混ぜた一番強い魔法を当てた。
でも、相手は、かすり傷だけだった。
それを見て、確信した。
勝てないと。
とりあえず、逃げる隙をつくらなければいけない。
いや、つくれないかもな。
だから、私は言った。
『結愛は・・・のロッカーの中にいるから。』
私は、そう言った。
そして、私は、相手に魔法を当て続けた。
連続魔法だ。
弱点は無いのかな。
弱点があれば、倒せれるかも知れないのに。
そして、思った。
これって、閻魔の仕業か?
それとも、違う人か?
どっちか証明するには、閻魔に伝わるように大きな声で言ってみればいい。
『閻魔ー!こんなことするなんて、ずるいぞ!自分から出てこい!』
その時、かすかに聞こえた。
『違う。助けてくれ。何者かに俺のこの場所を乗っ取られてるんだ。』
私は、その言葉を聞くと、確信した。
これは、閻魔では無い。
閻魔は、嘘をつかないから確信出来る。
閻魔を憎んでるのか知らないが、こんなことやめて欲しい。
もし、閻魔を憎んでるだけなら、巻き込まないで欲しい。
そして、私が琉の方を見た時、琉はもう居なかった。
結愛の所へ行ったのか。
伝わって良かった、と安心した。
そして、戦いに集中しようとした時、足音がした。
警戒したが、琉だった。
琉は、急いできたのか、息があがっていた。
琉は、大きい声で私に言ってきた。
『結愛が、結愛が・・・殺される!誰か分からないけど、黒いパーカーを着ている人に!今の俺じゃ勝てない。きっと・・・。』
私は、それを聞くと、相手とまだ距離があったため、結愛の方に行くことにした。
結愛を殺させはしない。
間に合って。
私と琉はダッシュで行った。
なのに、結愛は、死んでしまっていた。
そして、結愛の口には、紙があった。
そこには、こう書かれていた。
この場所は、我々が乗っ取った。
閻魔は、我々が預かっている。
助けたければ、○○○に来い。
私は、別に閻魔を助ける為に命をかけるつもりは無い。
だから、助けに行くつもりはない。
それに、私たちは、閻魔の仲間では無い。
きっと、勘違いしてるんだろう。
私達にとって、閻魔は敵なのに。
私は、結愛の死体をロッカーに入れた。
今は、時間が無い。
琉にも、結愛の入ってるロッカーの隣のロッカーに入ってもらった。
そして、予想通りに相手の少女は私達を追いかけて来た。
私は、結愛が魔法で殺されていると見極めた。
だから、相手の中には魔法が使える人が居るんだ。
警戒しとかないと。
いつ魔法を使ってくるか分からないから。
とりあえず、今は、この少女を倒さないといけない。
倒せないかもしれない。
いや、その可能性の方が高い。
だけど、最後まで諦めない。
そう決めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。