ここはどこだ?
空は灰色、ビルなどは崩れている、人の気配がない。
ここは現実なのか?
それとも、夢なのか?
異常に身体は軽い。
やっぱり夢で合ってるよな…?
なら、早く目を覚ませ…!
私がそう願った時だった……!!
矢が私の方へ飛んできた。
私は気づくのが遅かった。
矢は私のお腹に刺さってしまった。
その時、私は思った。
ここは夢じゃない…と。
血がお腹から流れ出てきていて、とてつもなく痛い!
私は警戒しながら、物陰へと隠れた。
そして、私は力が抜けていく中もまだ残っている力を振り絞って矢をお腹から抜いた。
そして、服を破り血を止めようと頑張った。
だが、血は止まる気配が無かった。
それに、意識は遠くなっていく一方だ。
ここで死んでも、夢なら現実では生きているはずだ。
いや、現実ではもう殺されているかもしれない。
私は何か血を止める方法がないかと考えようとしたが、頭が働かなかった。
その時、遠くから声が聞こえた。
『ここはとある国の未来…。貴方ならどこの国か分かるよね?』
その言葉の後、目の前に人が現れた。
私はすぐに逃げようとしたが、身体が動かなかった。
もう逃げる力は無くなってしまっていたのだ。
『誰?』
私は小さい声しか出せなくなっていた。
『私は蘭。本物の蘭よ。』
それ聞いた瞬間、私は警戒をした。
私を殺しに来たのかと思ったから。
私は喋ろうとしたが、声が出なくなってしまった。
そのことを本物の蘭に気づかれてしまった。
『喋れないのね…。警戒しないで。何もしないから。さっき、矢を放った人はもう居ないから。私は貴方に言いたいことがあって会いに来たの。でも、その前に治してあげないとだよね。』
そう言うと、本物の蘭は何かを唱え始めた。
すると、私は身体がだんだん動けるようになった。
しばらくして、傷も痛みも無くなった。
『何をしたの?』
私は聞いた。
『魔法よ。治癒魔法。』
そう言った後、本物の蘭は真剣な顔つきなった。
『今から全部教えるわ。よく聞いて欲しい。』
嘘はついて無さそうだ。
『うん、分かった!』
私は信じてみることにした。
私は真剣に話を聞いた。
『貴方のいる世界、そこは魔法の研究をしているの。私はその実験道具だった。でも、私は王に好かれて実験を止めさせようとした。王の妻になれば、実験を止めさせることが出来ると思ってたから。けど、無理だった。だから、私は逃げたの。けど、捕まってしまった。それから、私はここに閉じ込められてしまっているの。本当の目的を知ってしまったから。私は閉じ込められてから数日後に私の代わりになる人を探しているって知ったの。その人を蘭として扱い、その人を実験道具にするってことも分かった。この実験は危険なの。王は魔法で世界を謎解き迷路にしようとしているの。理想の世界を作るために。王の理想の世界は、最低よ。魔法の使えない者は奴隷になるか、排除されるかのどっちかなの。それと、強弱で全てが決まる世界。王は最初に魔法の適正が無い者を排除するか奴隷にするはずよ。貴方は適正がある。それどころか、もう魔法を使える。でも、貴方は資料を読んでしまった。貴方は殺されるかもしれない。だから、逃げて。転移魔法を貴方は使える!私はそれを使えなかったの。だから、走って逃げるしか出来なかった。貴方なら大丈夫!貴方の行動次第で全てが変わるの。それだけは絶対忘れないで…ね…』
そう言い、本物の蘭の姿は消えた。
もし、本物の蘭の言ってることが本当なら大変だ。
でも、逃げたくない。
復讐が終わってない。
けど、その行動が間違っていたとしたら私のせいで世界は最悪の事態になる。
復讐をやめなきゃならないかもしれないのか…。
そうだ!
王を殺せばこんなことは全て終わるんじゃないのか?
そう考えた時だ……!!
煙が私を囲ってきた。
その煙を吸ってしまった。
すると、私は意識が遠くなっていってしまった…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。