ベットがボロボロで寝れない。
これじゃあ、床で寝ているのと変わらない。
こんなベットでよく王は眠れたな。
私は、無理だ。
それにしても、どうやって情報を集めよう。
とりあえず寝れないし、この城の中を見てまわりながら考えよう。
私は、部屋を出て、歩き回った。
そして、王の部屋まで辿り着いた。
部屋からは、物音がして、影が二つもあった。
私は、王の部屋近くに行った。
そして、耳を傾けた。
何か分かるかもしれない。
『騙せたか?』
『もちろんです。』
王とカイトだ。
変な会話をしている。
もう少し聞いていこう。
『本当にあの女が蘭なのか?』
『はい。そうです。』
『俺は、何年眠っていたことになってるんだ?』
その言葉を聞いた瞬間、確信した。
嘘だったのか。
本当は、眠ってなんか無かったんだ。
王もカイトも信用出来なくなった。
元々、信用してないが、疑っている程度だった。
だが、今のでもう、完全に信じられなくなった。
この城に絶対に私を裏切らない人が居てほしいな。
そしたら、利用できるのに。
私は、続きも聞きたかったが、カイトがドアの方をチラチラ見始めた為、やめた。
でも、何で眠っていたなんて嘘を付いたんだ?
別にそんな嘘をついたって意味がないじゃないか。
いや、もしかして、何か意味があるのか?
分からない。
カイトは、簡単に殺せると思っていたのに、簡単には、無理そうになった。
情報を隠している所は無いのか?
私は、歩きながら、考えた。
その時だった。
『蘭様?』
後ろから声がした。
私は、警戒をしながら、後ろを向いた。
ただのメイドだった。
私は、目付きを柔らかくして言った。
『どうしたの?』
『蘭様、お会いしたかった!私くし、さなと申します。覚えて下さっていますか?』
メイドは、不安そうな顔をしている。
さななんて知ってるわけがない。
でも、知っていることにしとこう。
この人は、利用出来る気がする。
『もちろん!さな、私も会いたかったわ。』
『蘭様!』
さなが抱きついてきた。
蘭は、さなってやつと仲がいいのか?
なら、試しに聞いてみるか。
『情報を隠している所まで案内してくれない?』
どうだろう。
あれ?
答えてくれないのか。
無言はやめて欲しい。
『いいですよ。』
しばらくした後に、暗い声でさなが言った。
何か問題があるのか?
まぁ、いいか。
私は、さなについて行った。
あー、早く情報が欲しい。
情報を集めたら、カイトを最初に殺す。
絶対に逃がさない!
逃げられたら、殺せれるまでずっと追いかける。
それはそれで面白そうだ。
鬼ごっこってやつだ。
捕まったら、殺される。
リアルな鬼ごっこだ。
そうだ!
逃げる時間を三秒だけあげて、鬼ごっこ形式でカイトを殺そう。
面白そうだ。
その日が楽しみだな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。