「もう、終わりにしよう。」
健太と付き合って二ヶ月とちょっと。
「えっ?」
どうゆうこと…?
「別れてくれ。」
沈黙が続く。
私は息を吸い込み、
「…わかった。」
と言った。
「じゃあ、また。」
健太は、私に背を向け帰って行った。
“また”なんて無いくせに。
「さようなら。」
私はの健太の背中に言った。
私は健太の背中をしばらく見つめた後、あてもなく歩き始めた。
とうとう、来たか…。
もうそろそろダメかなぁって思ってた。
健太に好きな人ができたらしい。という噂は耳にしていた。
私から別れてあげればよかったかな?
そしたら、都合よかったかな?
でも私は…
「ちゃんと好きだったのになぁ。」
目にうっすらと涙が浮かぶ。
朝早く起きて、服も可愛くして、メイクもしたし、髪もセットした。
「可愛いね」とか言って欲しかった。
でも、もちろんそんな言葉はなく、なんとーなく遊んでこのありさま。
「あー、もうやだなぁ」
私は立ち止まって空を見上げる。
星がキラキラと光っていた。
お月様も綺麗。
「えっ?」
下からピュッと水が噴き出す。
私はここが地面から水が噴き出す、仕掛け噴水だとわかった。
逃げようと後ろを振り向くと、また水が噴き出した。
すると、瞬く間に私の周りを囲むように水が噴き出した。
「あぁ、もう濡れちゃうじゃん。」
今考えたらスッとその中から抜け出せばよかったのに、私はそのまま立ち尽くしていた。
泣きたい…。
「うわぁぁぁぁ。」
色々な感情が混ざりあい、それが涙となって溢れる。
私はその場に崩れ落ち、水が止まっても泣き続けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。