第14話

Chapter 14
7,339
2017/11/21 13:47
なんだか今日は時間の流れが早い。

次はお昼休み!

そして、今は化学の授業。

何かと、何とかを合わせると何かになるらしい。

…。

よくわからん。

あー、早くお昼休みになって欲しい…。


「藤咲さん。」

「は、はい!」

急に名前を呼ばれ、しかも違う事を考えていたからいつもより大きな声が出てしまった。

「元気ですね。」

と言う先生の言葉にみんなが笑う。

「化学の係って藤咲さんでしたよね?」

「あ、そうです。」

「じゃあ、放課後手伝って欲しい事があるので僕のところに来てください。」

「わかりました。」


高橋先生…。

…。

なんか引っかかるんだよなぁ。

誰かに似てる?

うーん。


キーンコーンカーンコーン

あ!やった!終わった!

もうすでに、さっき考えていた事は頭から消えていた。

「千紗!ご飯食べよー!ってか私購買行かなきゃ行けないんだけど。」

「あれ、今日はお弁当じゃないの?」

「うん、今日なんかめんどくさかったからー。」

「実は私も今日はお弁当じゃないんだ〜。」

「おぉ!じゃあ、行こ!あ、ちょっと先行くね!」

「えー!待ってよ〜!」



私は階段を駆け下りた。

「あっ!」

止まるのが間に合わず、目の前の人にぶつかった。

ドンッ

「いててっ…。」

「藤咲さん!ごめんなさい。大丈夫ですか?」


ふわっと香る柔軟剤。


その中に微かなタバコの匂いがした。


…え?


先生は私に手を差し伸べていた。


この匂い…。


この感じ…。


『大丈夫』って声も…。




全部一緒…。


「なお…」


直樹さん、と呼ぼうとした時、

「あなた大丈夫?」

と、後から来た千紗に声をかけられた。

「あ…うん。大丈夫…。」

私は立ち上がった。

そして、先生の目を見た。

すると、先生は、

「藤咲さん、放課後よろしくお願いします。」

と言い、化学準備室へ向かって行った。

「ほら、あなた!早く行こ!」

「う、うん。」


放課後…。


放課後まで待てないよ…。

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