「ひき肉とー、玉ねぎとー、パン粉と卵?あと牛乳もかな?」
先生の冷蔵庫に入ってるものがわからない…。
まー、いっか!
私はそのほかにも食材を買い、スーパーを出た。
「あ!先生!」
先生はスーパーの壁に寄りかかっていた。
「はい、」
と手を出してくる。
「え?」
何を求められているのかわからず、首をかしげた。
「袋かせ。」
「あ、ありがと!」
こう言う、さりげないところもいいよね。
あ、だからさっきスーパーどこ?って聞いてたのか。
「あと、外で、俺がダサくない時は、名前で呼べ。バレる。」
「あ、そっか。わかった。」
そのあとは特になにも話さず、マンションへ向かった。
「ただいま。っと。」
先生はボソッと言う。
「お帰り。」
「お前も今帰ってきただろ。」
「え?だって返してもらえた方が嬉しいでしょ?」
そうだよ。ただいまって静かな家に言うだけなんて、寂しい。
「まぁな。」
「ただいま!」
“お帰り”って言って?と言うふうに先生に言った。
「お帰り。」
「うふふ。」
“お帰り”って言ってくれただけなのにすごく嬉しい。
「なんだよ。」
「なんでもなーい。」
「お腹すいたー!ご飯作ろ!」
私は靴を脱いで、キッチンへ向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。