第27話

Chapter 27 ー泥棒ー
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2017/12/07 08:27
「送ってくれてありがとう。」

私は車から降りながら言った。

「おう、またな。」

「うん、またね。」

私は手を振って見送った。


カチャン

あれ?

鍵を開ける感覚がない。

すでに開いている。

なんで…?

お父さんかお母さんが帰ってきてるのかな?

いや、でも家の中は暗い。

それに昨日出発したのに今日帰ってくるってことはありえない。

もしかして…。

泥棒…?

ど、どうしよう。

警察!?

でも、まだ本当に泥棒かどうかわからないし…。


「先生…。」


何気なく呟いた名前にハッとした。

そうだ、先生に電話しよう。

私は少しずつ家から離れて家のすぐ近くにある、小さな公園に移動した。

そして、先生に電話をする。

いつも聞き慣れているコール音がやけにうるさく感じた。

早く出て!

すると、コール音が消える。

「もしもし!先生!!大変なの!聞いて!!」

『ちょ、お前、ぎゃんぎゃんわめくなよ。うるさ…』

「いいから聞いて!!」

私は先生の声を遮って言う。

『わかってる。つーか聞いてんだろ。』

「今ね、家の鍵を開けようとしたら、もうすでに開いてて…」

『親が帰ってきたんじゃないのか?』

「いや、家の中は暗いし、昨日出発したからそれは無いと思う。」

『そう言えば、そうだったな。』

「だから、その、もしかしたら…。」

泥棒かもしれない。と言う前に、

『わかった、ちょっと待ってろ。今行く。』

と言い、先生はすぐに電話を切った。

先生、早く来て…。

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