第37話

Chapter 37
5,927
2017/12/05 06:55
「ん…」

ゆっくり目を開けると、そこには見慣れた天井があった。

「起きたか?」

「先生…」

ずっとそばに居てくれたのかな?

「保健の先生が風邪だろうって。結構熱あったぞ。」

「そう…何度?」

「38,7度」

「うわ、マジか。もうすぐ文化祭なのに…」

「まぁ、それまでに治せ。あと5日だ。」

「そっか…。」

しばらく私は天井を見つめる。

あれ…?

「ん?え?てかなんで私ここにいるの?」

「お前倒れただろ?」

「いや、それは覚えてる。でも、ここ、私の部屋じゃん…」

そう。ここは私の部屋。

学校で倒れて、保健室なら分かるんだけど、、

「あぁ、そう言うことか。お前の親が居ないから送ってくって言ってここまで運んできた。」

「あ、ありがとう。」

「本当だよ。お前重すぎ。」

「うわ、そう言う事言っちゃうんだ。」

そういえば、服も着替えてある。

着替えさせてくれたとか??

まぁ、そこは触れないでおこう。

「ねぇ、今何時?」

「7時過ぎ。」

「え!私そんなに寝てたの!?」

「あぁ、保健室で最初は寝かせてたんだけど、下校時間になっても起きねーから。」

「なるほど。」

「んじゃ、帰るわ。飲み物と食い物はそこに入ってる。」

「え、ちょっと。待って。」

私は手を伸ばして服の裾を掴む。

「ん?」

と、先生はこちらを向いた。

「あ…」

私もとっさの行動に驚いた。

“帰らないで。一緒にいて。”

そう思った。

けど、言えない。言えなかった。

きっと言ったら先生は居てくれる。

でも、そしたらきっと私はどんどん先生を好きになっちゃう。

一瞬でも、一緒にいてほしい。帰らないでほしいって思った自分が馬鹿みたい。

「なんでもないや。またね先生。ありがとう。」

「おう、またな。」

先生は手を振ってくれた。

すると、先生は振っていた手を私の方に伸ばして、頭を撫でてくれた。

そして、微笑む。


「早く元気になれよ。」


私は泣きそうになった。

もう、先生。優しくしないで。

先生といると…どんどん好きになっちゃうじゃん。


でも、私はこの時思った。


もう、諦められない。


ねぇ、先生。人を好きになると、“好き”って気持ちが溢れてくるんだね。


好きって分かったら、


好きって気づいた瞬間から、もうこの気持ちは止められない…。

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