第61話

Chapter 61
5,130
2017/12/29 09:14
ー次の日ー

「はい、いよいよ文化祭が明日になりましたー!」

先生は元気よく言う。

「今日は、午前中で授業が終わりなので午後は準備に取り掛かってください。」

はーい、とみんなが返事をした。

みんなワクワクしてるのが伝わってくる。

私も楽しみ〜!

千紗といっぱい回るんだ〜。



午前中はあっという間に過ぎ去り、みんなで作業に取り掛かる。

机に白いデーブルクロスを引いたり、グラスやお皿を用意したり、メニューの準備をした。

裏方(料理を作る人)、メイド&執事、呼び込みの三つをシフトチェンジしながら行う。


「あ、そう言えばあなたちゃん。メイド服試着してくれた?」

衣装係の莉央ちゃんが聞いてきた。

ふと、試着した時のことが頭をよぎる。

胸がギュウッと苦しくなる。

先生…。

「うん!ありがとう!本当に可愛かった!」

「本当!?よかったぁ〜。明日楽しみにしてるね!」

「うん!」

私は、クラスのみんなと教室を飾りつけしたり、明日の食材を切ったりした。


「お疲れさまぁー!!じゃあ、あとは明日を待つだけ!みんな頑張ろうね!」

文化祭実行員が気合を入れながら言う。

「うん!がんばろーね!」とか、「一位目指すぞーっ!」って言ってる男子もいた。

明日楽しみだなあ。と、みんな笑っていた。


ふと、後ろのドアを見ると、先生がドアに寄っかかってこちらを見ていた。


その表情が私の心を奪う。


先生は、私達を見て、優しく微笑んでいた。


私ならわかる。


いつもなら楽しくなくても、キャラで笑って居る時があった。


でも、これは心からの感情が現れていた。


すると、先生が私を見た。



目が合う。



私はとっさに目を逸らしてしまった。



だって…先生…。



私を見た時、一瞬だけど、申し訳なさそうな、悲しそうな表情をした。



先生、私はそんな顔させたかったんじゃないの。



ごめん、ごめんね、先生…。

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