私と千紗は顔を見合わせ、とりあえず付いていくことにした。
正直、先生とあんまり関わりたくないんだけど、、
人目の付かなそうなところへ行き、先生が話し始めた。
「驚かせて悪かった。」
「先生、どう言うこと?」
私は先生に問いかける。
「その、色々あって…悪いが、今は言えない。」
私達はしばらく黙り込む。
どうして言ってくれないの…?
やっぱり、私の事、嫌いになったのかな?
「…分かった。先生の事は直樹さんで良いのかな?」
私は渋々了解をした。
「あぁ、頼む。」
すると、先生が少し間をあけて、
「小林、ちょっとあなたと二人で話がしたい。」
そう言った。
千紗は何も言わず、何が考えているようだった。
“2人にしないで”
私は、千紗をすがるような目で見ていたと思う。
今度は、千紗がじっと先生を見つめながら言う。
「…先生。あなたを泣かせるようなことしたら、許さないから。」
千紗…。
そんなこと言ってくれるのは千紗くらいだよ。
「…分かった。約束する。」
すると、千紗はトンッの肩を叩きながら、この場を去った。
もうそれだけで涙が出そうだった。
千紗は、ちゃんと向き合えって背中を押してくれた。
千紗、ありがとう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。