((準備室の設定にします))
「あなた。」
名前を呼ばれ、先生を見上げる。
そして、先生と目が合う。
が、すぐに逸らしてしまう私。
あぁ、もう。
なんなのよ、自分。
「ごめんな。」
先生は静かに言う。
先生…。
ごめんを言うのは私の方だよ…。
「だ、大丈夫だよ。生徒が先生に恋しちゃいけないって分かってるし。」
「その恋が報われないってわかってる。」
「ただ、私は先生に気持ちを伝えたかっただけ…」
私は大きく息を吸い込んでその息を吐き出すように言う。
「ごめんね…好きになっちゃって。」
その一言が自分の中に染み渡っていく。
ヤバい…泣いちゃいそうだよ。
「今までの関係が一番良かったのに。それを私が壊しちゃった。」
ごめん、ごめんね、先生。
「私が前に、なんでこんなことまでしてくれるの?って聞いたけど、
それはただ単に私が先生の生徒なだけで…。」
そこまでいった時、先生が何か言おうとした。
でも…
ピーンポーンパーンポーン
『高橋先生、高橋先生。至急職員室までお戻りください。』
と、校内アナウンスが流れた。
「先生、行って。」
「でも…」
「私と話すのなんていつでもできるでしょ?」
私は先生に歩み寄り、前髪をボサボサにして、机に置いてあるメガネをかける。
「よし、出来た。行ってらっしゃい。」
と、白衣を、差し出す。
先生は、考え込むように、しばらく私を見つめる。
私はその時、目をそらさずにじっと先生を見た。
「…ありがとう。行ってきます。」
そう言うと、先生は私から白衣を受け取り、足早に去って行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。