「ねぇ、あの人カッコよくない!?」
「うわっ、本当だ〜!声かけて見る?」
「あの人、超タイプなんだけど!」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
ふぅ、
なんだか、そんな声を聞くたびにHPが減っていくよ…。
よく知らない人に対して、嫉妬するなんて…。
なんか、心が狭い人みたい。
と言うか、独占欲が強い感じ?
別に、先生は私のものじゃないのにね。
私は、裏にある、シフトチェンジをしたり、着替えたり、料理を運んだりするスペースへ行く。
「はぁー、疲れたぁ。」
私は近くの椅子に座る。
「今はー、1時前かぁ。」
10時に始まったから、かれこれ、3時間は接客をしている。
そろそろ休憩したいなぁ。
と思っていると、先生が入ってきた。
「お疲れ。」
私の頭をポンっと叩く。
キュンと心臓が鳴る。
もう、そう言うことさりげなくしないでほしいよね。
「ありがとう、先…じゃなくて、直樹さんもお疲れ様。」
「おう。」
すると、千紗も入ってきた。
「疲れたぁ、そろそろ、休憩したい…。」
「それね、疲れたー。」
「あ、ちょうどよかった。3人とも休憩に入っていいよ〜。」
委員長の美麗ちゃんが言う。
「本当!?ありがとうー!」
「いーえ、でも、3人が居なくなると一気にお客さん減るかもなぁー。あ、そうだ。」
「ん?」
「呼び込みも兼ねて、制服のまま休憩するってのはどー?」
良いアイデアでしょ?と言うふうに美麗ちゃんが言う。
「良いんじゃない??売り上げに貢献しようではないかーっ!」
と、千紗が言う。
「そーだね、直樹さんもそれで良い?」
「あぁ、問題ない。」
「んじゃ、休憩してくるね!」
私は立ち上がりながら言う。
「行ってらっしゃーい!」
美麗ちゃんは元気よく送ってくれた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。