第107話

好き
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2018/08/02 02:38
あなた

あー、好き。

私は、先生を眺めながら言った。


今、私達はあまり人がいない穴場的な場所でお昼ご飯を食べていた。


渡り廊下に先生がいる。
千紗
それ何回目だよ、
そしてすかさず千紗が突っ込んだ。
あなた

んー、なんか今ね。
好き!っていう時期なんだよなぁー

千紗
え、ダサいのに好きなの?
あなた

いや、なんかさ。
営業スマイルな感じで笑ってる時もあるんだけどさ、たまーにだけど、
子供みたいに笑う時があるんだよね〜

千紗
……私には違いがわからん。
あなた

いーの!
私だけ分かれば!

千紗
あー、はい。そーですねー。

千紗は、「はぁー惚気かよ。」みたいな感じで言った。
千紗
え、でもさ。
ずっと見てたら他の女子とかと一緒にいるとこも見えちゃうじゃん。
あなた

あぁ…それは……嫌だね……。
もうね、本当いや。
でも、そーゆー時ね。こういう妄想すんだよ。

千紗
妄想っすか。
あなた

そーなんすよ。
まず楽しそうに女子生徒と先生が喋ってたとする。
そんで、先生は私のものだ!って分からせるために、
先生に近づき!メガネを取って!そして前髪をあげるっ!そして…!


そう言った瞬間、何か教科書とかで頭を叩かれた。
あなた

イテッ


私は、振り返る。


すると、そこには……
あなた

あ、先生…
あははー、こんにちはー。

先生
もう少し落ち着いてください、藤咲さん。
あぁ、そうだ。あとで、準備室に来てください。
手伝っていただきたいんです。
あなた

あ…わかりましたー。


はい、今のを訳すと。


「うるさい、黙っとけ。あとで準備室こいよ?」ですね。


…説教まではいかないけど、絶対なんか言われるじゃん!
先生
よろしくお願いしますね。

そう言って去って行った。
千紗
わー、怖い。
んで、さっきの続きは?
あなた

え、今それいう?

千紗
もちのろんっ!
先生に近づき!メガネを取って!前髪をあげるっ!そして!
あなた

ネクタイ引っ張ってキスする!

千紗
おぉ〜!!!

その瞬間、先生の顔が目の前にあった。


えっ…?


そして、キスをされた。


そのまま、私の耳元で囁く。
先生
好きだよ、あなた。
あなた

っ!


私は耳を抑え、口をパクパクさせながら、顔が赤くなるのを感じた。


そして先生は、ふっと笑う。
先生
ばーか。
あなた

な、なに!?
それは反則でしょ!?

先生
大丈夫ですよ、周りに人は居ないようですし。
それに、そう言わせるように煽ったのは藤咲さんでしょう?
あー、もう!


絶対からかってるでしょ!?
先生
次の授業、遅れないでくださいね。
実験ですから。
千紗
はーい!
千紗は呑気な声で返事をする。 


もー、なんなんですか先生!!!

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