「な、クリスマス、クラス会開こーと思ってんだけど、どー思う?」
小声で雄太が言った。
「はっ…?」
「おいそこー、なんだ。」
先生が黒板に書く手を止め、こっちを振り返る。
「す、すみません…なんでもありません…」
化学の授業中に突然言われた私は思わず驚いて声を上げてしまった。
もうっ、雄太のせいで私が怒られちゃったじゃんっ!
キッと雄太を睨みつける。
「ふっ…」
は、はぁー!?
そこ、笑って返しますか普通!
てか、なんで今その話…。
「なぁ、どー思う?」
また雄太が小声で聞いてくる。
私はノートの隅っこに“やれば良いんじゃない?私は行けないけど〜”と書いて雄太に向かってべーっと舌を出して見せた。
「ちぇっ、つまんねーやつ。」
雄太はそう言って仰け反る。
ふふっ。
だって柊真とのデートが入ってますもんっ。
その日のお昼、早速クラスLINEには“クリスマス(12月24日)にクラス会やりたいやつー!”と名前付けられた投票が出されていた。
【ねぇ、これってどこで何すんの?】
樹里とお昼を食べながらLINEを開いていると、クラスの1人から質問が。
【まぁ、カラオケとか?】
雄太がそう言い、次々に話が盛り上がっていく。
【あ、そーいや駅前にお菓子持ち込みOKのとこあったよな?】
【あー、あるね!】
【パーティルームもあるよ、そこ👍】
【時間は?】
【お昼とかぶっ通しで?】
「なに?
クリパ?」
樹里が私のスマホをのぞき込む。
「うん、クラスでやるみたい。」
割とみんな乗り気。
「え、あなたは行かないよね?」
「うんっ、予定あるし。」
えへへ、デートという予定が。
「あなた…顔、ニヤけてるよ。」
呆れた顔して樹里が私を見る。
「えへっ!
だって〜、初めてのクリスマスデートだもんっ!」
クラスでワイワイするのも確かに楽しいけど、今年は、ね。
もっと楽しいよきっと。
彼氏と過ごす初めてのクリスマスに期待が高まる。
早くクリスマス来て欲しいな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。