第24話

ドキッ?
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2017/12/11 09:30
この胸のチクチクは…いったい…何?


ー好き?


好きだから?


好きだから、雄太に好きな人がいるって知って、胸が痛いの?


やだよ。


そんなの、認めたくない。


好きになりたくない。


好きになっちゃいけない。


だって私には柊真がいる。


雄太を好きになったら…柊真との関係は…どうなるの?


それに、雄太には、好きな人がいて…。


もし仮に、私が雄太の事を好きになったとしたら…それは、失恋。


そんなの、嫌。


「おい、なにやってんの。」


え。


声のする方をゆっくり向く。


「あ。」


顔を見上げると、そこに居たのは雄太だった。


目元がまだ赤い。


「あ、いや…」


「盗み聞き?

いい趣味してんね。」


わ、怒ってらっしゃる…。


「…ごめんっ。

トイレ行こうとしたら、雄太が電話で話してて、なんか、深刻そうだったから…」


まぁ、トイレ行くって言うのも、雄太が気になったから見に行く口実なんだけどね…。


雄太の顔は怖いまんま。


「決して、悪気があったわけでは…っ!」


必死に弁解する。


「はぁ…。」


ため息。


呆れられた?


「あーもっ!」


雄太はそう言って頭をかいて、床にしゃがみ込んだ。


わ、怒ってる?


ごめんなさい。


「オレ、かっこ悪いじゃんね。」


「は?」


思いもよらぬ雄太の言葉に頭が追いつかない。


「え?」


かっこ悪い?


「なんで?」


私の何気ない質問に、雄太は私を見上げて睨んだ。


ひっ…。


「はぁ…。」


そしてまた俯いた。


「だってさ、あなたには“彼氏のことなんて忘れて”とか言ったくせに、オレは元カノを引きずってるわけだし…泣いたし。」


「…。」


私は口を開こうとして噤む。


なんて声をかけたらいいか、言葉を探し、選ぶ。


「泣くのはさ、悪いことじゃないと思うよ。」


私の言葉が意外だったのか、雄太は私を見上げた。


「泣くほど好きって、いいことじゃん。

ホントに好きってことじゃん。

全然かっこ悪くないよ。」


「あなた…。」


私は雄太の隣にしゃがむ。


「少なくとも、私はそう思ってるからさっ!

ほら、泣いていいよ?

なんなら胸かそうか!?」


私は両手を広げた。


「ふっ…遠慮しとく。」


雄太は静かに笑って上を向いた。


そして目を閉じる。


「あなた、カッコよすぎかよ。」


ボソッと放たれた雄太のその言葉は私には聞こえなかった。


「えっ?

何?」


「…なんでもねーよ。」


雄太の目からまた涙が零れる。


ドキッ。


…ん?

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