「じゃーねっ!!」
「バイバーイッ!」
午後5時、カラオケ店を出て解散。
私は一人、家までの道を歩く。
電車組、いいなぁ。
駅まで楽しそうで。
あいにく、私の帰る方向と同じ帰り道の人はいない。
三葉も学校からなら一緒に帰れるんだけど、ここからだと逆方面。
なんだか、寂しい。
家に着くと家の明かりはついていなかった。
あれ…?
お父さんはまだ仕事だろうけど、お母さんは?
買い物にでも行ってるのかな?
そう思って車庫をの方に視線を向ける。
あ、車無い。
ってことは、出かけてるね。
よかった、鍵持ってて。
「?」
家に入ろうとした時、ポストに紙袋が入っているのに気づいた。
ポストの蓋を持ち上げて紙袋を取り出す。
暗くてよくわからない。
とりあえず家に入って見てみる。
白い10センチ四方の可愛いサイズの紙袋。
中を覗いてみると、白い箱、透明の袋に入れられたブレスレット?
そして、四つ折りにされた小さな紙切れ。
私は玄関で靴も脱がずに立ったまま、その紙切れを出して開く。
『今日会えなくてごめん。
クリスマスプレゼントです。
byサンタ』
クリスマスプレゼント?
って、これのこと?
紙袋の中から箱を取り出し、開けてみる。
「わ。」
中には淡いピンクのガラスの容器に入ったコロンだった。
「かわい…」
ブレスレットの方も取り出してみると、ハートのチャームが付いていた。
もう1度、紙切れを読み直してみる。
『今日会えなくてごめん。
クリスマスプレゼントです。
byサンタ』
男の子の字で綴られたそれが誰のものかは、名前がなくても分かった。
柊真の…バカっ。
「ふふっ…」
てか、サンタって…。
サンタって書くならもーちょっとちゃんとしてよねーっ!
そう思いながらも、ダメだ。
顔は完全にニヤけきってる。
“今日会えなくて”って書いてる時点で柊真じゃん。
私のサンタさんからもらったプレゼントを眺めていると、目頭が熱くなるのが感じられた。
柊真っ。
なんでこんなことするのよっ。
嬉しーじゃん、ばか。
急にデートキャンセルした最悪彼氏のままでいてくれたら、楽なのに。
なんでこんなサプライズみたいなことするかなーっ。
ドキドキしちゃうじゃん。
やっぱり…
私が好きなのは柊真?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。