第26話

サプライズ
861
2017/12/11 21:21
「じゃーねっ!!」


「バイバーイッ!」


午後5時、カラオケ店を出て解散。


私は一人、家までの道を歩く。


電車組、いいなぁ。


駅まで楽しそうで。


あいにく、私の帰る方向と同じ帰り道の人はいない。


三葉も学校からなら一緒に帰れるんだけど、ここからだと逆方面。


なんだか、寂しい。





家に着くと家の明かりはついていなかった。


あれ…?


お父さんはまだ仕事だろうけど、お母さんは?


買い物にでも行ってるのかな?


そう思って車庫をの方に視線を向ける。


あ、車無い。


ってことは、出かけてるね。


よかった、鍵持ってて。


「?」


家に入ろうとした時、ポストに紙袋が入っているのに気づいた。


ポストの蓋を持ち上げて紙袋を取り出す。


暗くてよくわからない。


とりあえず家に入って見てみる。


白い10センチ四方の可愛いサイズの紙袋。


中を覗いてみると、白い箱、透明の袋に入れられたブレスレット?


そして、四つ折りにされた小さな紙切れ。


私は玄関で靴も脱がずに立ったまま、その紙切れを出して開く。


『今日会えなくてごめん。

クリスマスプレゼントです。

byサンタ』


クリスマスプレゼント?


って、これのこと?


紙袋の中から箱を取り出し、開けてみる。


「わ。」


中には淡いピンクのガラスの容器に入ったコロンだった。


「かわい…」


ブレスレットの方も取り出してみると、ハートのチャームが付いていた。


もう1度、紙切れを読み直してみる。


『今日会えなくてごめん。

クリスマスプレゼントです。

byサンタ』


男の子の字で綴られたそれが誰のものかは、名前がなくても分かった。


柊真の…バカっ。


「ふふっ…」


てか、サンタって…。


サンタって書くならもーちょっとちゃんとしてよねーっ!


そう思いながらも、ダメだ。


顔は完全にニヤけきってる。


“今日会えなくて”って書いてる時点で柊真じゃん。


私のサンタさんからもらったプレゼントを眺めていると、目頭が熱くなるのが感じられた。


柊真っ。


なんでこんなことするのよっ。


嬉しーじゃん、ばか。


急にデートキャンセルした最悪彼氏のままでいてくれたら、楽なのに。


なんでこんなサプライズみたいなことするかなーっ。


ドキドキしちゃうじゃん。


やっぱり…


私が好きなのは柊真?

プリ小説オーディオドラマ