私の心は、私の想いは、誰に向いてるの、どこに行ってるの。
その問いかけが頭の中をぐるんぐるんと回っている。
本当は柊真への気持ちを疑い始めた時点で、別れるべきなのかもしれない。
でも、確かに存在する。
柊真が好きって気持ち。
たまにある、一緒に帰れる時間は胸がドキドキする。
じゃぁ雄太のことはなんとも思ってないの?
そう聞かれたら、首を縦には振れない。
多分、気になってる。
2人を同時に好きになるなんて、ある?
「…あなた、どーかした?」
「えっ。」
隣を歩く柊真に聞かれてハッとする。
「いや、ちょっと、考え事。」
「…そっか。」
ほら。
こうやって、話しかけてくれる時もあるんだけど、スグに2人とも黙っちゃうんだ。
私が話さないのもいけないと思う。
でも、何話したらいい?
変なことを口走って、柊真を傷つけたくはない。
最近ずっと考えてるのは、私が誰を好きなのか。
だから、もし私が一方的に話し出して、焦りや緊張が襲ってきたら…
…やらかしかねない。
絶対変な事言っちゃう。
「じゃあな。」
「うんっ、バイバイ。」
いつもの分かれ道。
ここからは別。
何事もなくてホッとしてる。
あーぁ。
こんな気持ちで付き合ってたら、柊真に失礼かな。
でも柊真が好きなことは事実なんだよ。
だから、私から別れの話を切り出したくはないんだよ。
ねぇ、私の気持ちは。
ねぇ、柊真の気持ちは。
前よりも近づいてる?
それとも、離れていってる?
きっとその答えはー…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!