第29話

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2017/12/12 08:00
【なぁ、あなた。】


【オレたち、別れませんか】


…私の予想は、当たっていた。


1月29日の朝5時半、目が覚めると、柊真からLINEが来ていた。


…。


朝からこんなの最悪…。


私の心は曇った。


【なんで?】


一応、理由を聞いてみたい。


私はそう送信して、家を出た。


5時に起きた時よりもなぜか家を出るのが早い。


空を見上げると私とは裏腹に雲一つない晴空。


「はぁ…。」


ブブッ。


私のスマホが振動する。


立ち止まってスマホを見る。


「え。」


柊真。


…いつもは遅いくせに。


【なんか、オレらって合わなくない?

だから、別れた方がお互いのためだと思う。】


んまぁ、ごもっとも。


【うん、だね。

今までありがとう。】


手早にそう打って送信する。


柊真と私の終わり方は、こんなふうに案外あっさりとしたものだった。


私、もっとねちっこく“別れないで!”ってせがむかと思ってた。


自分でも驚いてる。


こんなふうに割り切れるのは、私の心の中の柊真の存在が薄れていっているからかもしれない。


それに、雄太が…


私の心に、雄太がいるから。


私は学校まで走った。





「はぁっ、はぁっ…」


急いで下駄箱で靴を履き替える。


「…あれ、あなた…?」


そのとき、名前を呼ばれて扉の方を向く。


そこにいたのは…


「…雄太。」


「おはよ。

…って今までで一番早くね?」


雄太がスマホの画面で時間を確認する。


「まだ7時半じゃん。」


そのとき、私の目から涙が零れた。


雄太を見て、涙が溢れた。



強がってた私の心が溶けたみたいに。


なんで、なんでだろう。


雄太を眼の前にしたら、安心した。


…やっぱり、振られたのは辛かったんだ。


私、ちゃんと柊真が好きだった。


だからこんなに悲しいんだ。


「ど、どーしたっ!?」


雄太が慌てて私に駆け寄る。


「うっ…ふぇっ…」


しゃくりを上げながら泣く私に、雄太が心配そうな顔を見せる。


「…っうっ…振られたの…私っ…。」


柊真…っ。


好きだったよ。


大好きだったよ。


辛いよ、私。


胸が痛いよ。


雄太がそっと頭を優しく撫でてくれる。


そしてぎゅっと抱きしめられた。


都合のいいことに、周りには誰もいない。


雄太の優しさが愛しい。


雄太、今だけはあなたの存在に甘えさせてください…。

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