あーなんか疲れたかもしれない。
特に意味なんて無い。本当にただ疲れたんだ。
親ともうまくやってるし、仲のいい友達だって沢山いる。
いじめられてる訳でもない。
でもふとした時に、『疲れたな』って思う。
だから何となく死んでみようと思う。
死んだらきっと楽になるはず。
疲れたなんて思わないはず。
ビルの持ち主には悪いけど、飛び降りさせてもらおう。
靴を綺麗に並べて。ビルの下を覗き込む。
人通りは少ないから誰にもぶつからないだろう。
ぐっと身を乗り出して、「さよなら」それだけを呟くと勢いよく私の身体は宙に舞った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!