第10話

おじさん
345
2017/12/21 11:58
私はあの日と同じビルに行った。
でも今日は、鍵が掛かっていて
屋上に上がれない。

おかしい。ここのビルには管理人すら
居ないというのに、誰が鍵をしめた?





...トントン
あなた

いぎゃぁぁ!!??

突然肩を叩かれ、思わず持っていた
ハサミを振り回す。
おじさん
えええ!!??
あわわわわ!やめてやめて!
ハサミ振り回さないでーーー
取り敢えずハサミを振り回すのをやめる。
私の肩を叩いたのは知らないおじさん。
尻餅をついて唖然として私を見上げている。
あなた

......誰

おじさん
こ、こここ、こっちのセリフだよ!
こんなビルに来て
いきなりハサミ振り回すなんて!
若者は一体どうなってるんだ。
あなた

ご、ごめんなさい?

憤然としているおじさん。
この人は誰だろう。
あなた

で、誰ですか?

おじさん
い、井上慎司です...?
あなた

いや誰だよ!!

おじさん
君こそ誰なんだよ!
あなた

あなただよ!

おじさん
いやわかんねーよ!
はぁ...はぁ......
息を整える。
おじさん
僕はここのビルの責任者だよ。
あなた

.........。
お邪魔しましたー!

おじさん
ちょちょちょ!!
待って!話聞こう!?
渋々戻る。
あなた

で!?
ビルの責任者が私に
何の用でございましょーか!?

おじさん
え、なんで怒ってんのおじさん怖い。
あなた

...

おじさん
うん。
おーけい、とりあえず
ハサミ下ろそう。
どうも私にはムカつくと人にハサミを
突き付ける癖があるようだ。
おじさん
僕は今見回り中。
昨日私に連絡がきたんだよ。
「屋上に女の子がいる。
自殺しかねないので明日から
鍵をかけるように」てね。
もしかして君のことかい?
あなた

それ電話ですか?
どんな声でした?

おじさん
うーん。
なんか人を小馬鹿にしたような、
若い男の声だったよ。




あいつだ。
あなた

教えていただきありがとう
ございます。
昨日のは私じゃないですよ。
私は自殺なんてする気
ありませんから安心してくださいね。

おじさん
うん、なんか、頑張って。





面倒臭いけど、とりあえず
あいつを締め上げよう。
うん。そうしよう。


私は固く決意しておじさんを後にした。

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