今はラストの授業。終了までは、あと5分ってとこか。
椅子に浅く座り、足を組む。一番後ろの席が、改めて有難いと思う。
国語のセンコーは、やり方が眠い。
読んで聞いての繰り返しだ。んで、小っさくあくびしちまう。それもなぜかバレて怒られる。
そもそもてめぇがやり方変えれや!って言いてぇんだけども。
どでかいチャイムが響き、委員長が「終わりまーす」って挨拶。もちろん、オレは何もしなかった。
みんな荷物まとめ始めて、担任が教室に入ってきた。
その後に「みんなも早く帰りたいでしょ〜?」なんて付け足すが、こちとらそこまでアホじゃねぇ。
目の前の席に座る虎愛が、オレの思ったことを代わりに言う。こいつは昔っから一緒にいるダチ、いわゆる幼なじみだ。
黒板から最後尾の席で繰り広げられるこんな会話を、クラスメイトは笑って見てる。
カイちゃんは強制的に会話を終わらせ、HRを無理やり始めた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。